「シングルマザーだと子育てに悪影響がある」という話を聞いたことがある方も多いでしょう。実際のところ、シングルマザーと子育てにはどんな影響があるのか、本当に悪影響を与えるのか、知りたい方もいるのではないでしょうか。
この記事では「シングルマザーが子育てに悪影響を与える」という話の真偽や、シングルマザーが意識したい子育てのポイントを紹介します。シングルマザーの方や教育者・支援者の方は、ぜひ参考にしてください。
シングルマザーが原因で子どもに悪影響が出るわけではない
労働政策研究・研修機構が発表した「第4回(2016)子育て世帯全国調査」によると、子どものいじめや非行、暴力などで悩むひとり親世帯の割合は、ふたり親世帯を上回る結果となりました。こういった結果もあり、「シングルマザーだから子どもに悪い影響が出た」と偏見を持たれる方もいます。
しかし実際のところ、シングルマザーだという事実が子どもに悪影響を与えるわけではありません。シングルマザーでも自身の気の持ちようや子どもとの関わり方次第で、立派な子どもに育てることが可能です。
では、なぜひとり親世帯は、子どものいじめや非行などで悩む割合が多いのか、気になる方もいるでしょう。その理由は、ひとり親だと経済的な問題が起きやすかったり精神面が不安定になりやすかったりするのが原因だと考えられています。
特にシングルマザーは、経済面の悩みや子育てに対する周囲の理解の低さなどが問題となる場面が多いです。経済面の苦しさや家庭内のストレスは、子どもの自尊心を低くしたり、精神面を不安定にしたりするといわれています。
つまり、シングルマザーだという事実が問題なのではなく、それにより起きる経済面や精神面の変化が子どもに影響を与えてしまうのです。国や自治体の施策や周囲の方々の理解などが乏しいことが問題だと考えられます。
シングルマザーでも子どもに良い影響を与えられる!子育てのポイント4つを紹介!
シングルマザーであること自体が子どもに悪影響を与えるわけではありません。子どもとの向き合い方を工夫すれば、子育てに良い影響を与えられます。ここからは、シングルマザーが子育ての際に意識したいポイントを4つ紹介します。
子どもを無条件に受け入れて愛情を伝える
1つ目は、子どもを無条件に受け入れて愛情を伝えることです。シングルマザーは、1人で母親と父親の役割をする必要があります。人によっては「父親がいない分も頑張らなくては」と力が入りすぎてしまい、子どもに厳しく接してしまう場合もあるでしょう。
しかし、子育てをするうえでもっとも重要なのは、「私は大切な人から受け入れられている」と子どもに実感してもらうことです。このことが実感できると「自分は価値がある存在だ」と思えるため、自分に自信を持てます。また、周囲に自分の存在が受け入れられると、他者の存在を受け入れ、信頼する心の余裕が生まれるでしょう。
もし、子どもに無条件の愛情を注ぐ前に「ちゃんと勉強をしなさい」「自分のことは自分でできるようにしなさい」といったしつけを優先してしまうと、自分の存在に自信を持てないまま成長してしまいます。すると、いつまでたっても他者を思いやったり受け入れたりする心が育ちません。時には指摘されたことが気に食わず、反抗的な態度を取ることもあるでしょう。最悪の場合、暴力沙汰になったり非行に走ったりする可能性もあります。
このように、子どもの心の基盤を作る前にしつけを優先しても、思うように受け入れてもらえないことがほとんどです。まずは子どもを無条件に受け入れ、愛情を伝えることを最優先にしましょう。
人の手を借りながら子育てをする
2つ目は、人の手を借りながら子育てをすることです。シングルマザーは「自分1人で子どもを育てなければ」という思いが強い方も一定数います。特に離婚でひとり親になった方は、周囲からの支援を受けにくい場合も多いです。
しかし、ひとり親こそ周囲の方々の手を借りながら子育てをする必要があります。その理由は大きく分けて2つです。
1つめの理由は、シングルマザーだけでさまざまなことをこなすのは大変だからです。仕事も家事も子育ても……と手一杯になると余裕がなくなり、ストレスがたまります。子どもは母親の変化に敏感です。ストレスがたまっていることを察知すると「迷惑をかけてはいけない」と思い、うまく甘えられなくなる可能性があるでしょう。このような状況は、シングルマザーにとっても子どもにとってもよくありません。うまく人の手を借りながら心の余裕を作ることが大切です。
2つめの理由は、子どもが母親以外の大人を知るきっかけになるからです。さまざまな大人と関わることで、社会の決まりや多種多様な価値観を知ることができます。多くの価値観に触れることは子どもの視野を広げたり、人格に幅を持たせたりと良い効果が期待できるでしょう。
このように、人の手を借りながら子育てをするのは大きなメリットがあります。もし、周囲に頼れる方がいない場合は、地域の子育て支援を活用するのがおすすめです。母親以外の大人と関わるきっかけを作れるでしょう。
子どもと密度の濃い時間を過ごすよう心がける
3つ目は、子どもと密度の濃い時間を過ごすよう心がけることです。シングルマザーの中には毎日忙しく、子どもと過ごす時間が少ないことを悩んでいる方もいるでしょう。しかし、大切なのは量より質です。短い時間でも子どもと充実した時間を過ごせば、心身が安定した大人に育ちます。反対に、一緒に過ごす時間が長くても子どもと向き合うことがなければ、心身が不安定になる可能性があります。このように、大切なのは一緒にいる時間の長さではありません。どれだけ密度の濃い時間を過ごせたかで、今後の成長が変わってきます。
密度の濃い時間を過ごすといっても、特別なことをする必要はありません。その日にあった出来事を話しながらゆっくり会話をしたり、寝る前に本を読んだりするだけでも子どもは嬉しい気持ちになるものです。「忙しい中でも自分に向き合う時間を付き合ってくれた」という事実が、子どもの心を安定させます。
しかし、時には心の余裕がなく子どもに八つ当たりしたり、要望に応えられなかったりする場合もあるでしょう。もしそういったことがあれば、落ち着いたタイミングで子どもに謝れば大丈夫です。きちんと謝れば子どももちゃんとわかってくれるので、安心してください。
シングルマザーでも自分の幸せのために生きることを忘れない
シングルマザーでも、自分の幸せのために生きることを忘れないでください。シングルマザーは子どもを最優先に動くことがほとんどです。「子どものために」という気持ちが強すぎて、自分を犠牲にすることもあるでしょう。
しかし、自己犠牲の姿勢で過ごすのは良くありません。子どもは、親が自己犠牲することを望んでいないからです。もちろん「構ってほしい」「大切に扱ってほしい」という思いを持っていますが、そのために親が自分の人生を諦めてほしいとは思っていません。
「子どものために」と自己犠牲を続けると、子どもも次第に「親がこれだけしてくれているのだから、尽くさなくては」と思い始めます。すると、今度は母親に対して自己犠牲をする子どもに育ってしまうのです。
親と同じように子どもも、親に誰よりも幸せになってほしいと思っています。ですから、どんなときも自分の幸せのために生きることが大切です。そういった姿勢を見せていくと、自分で自分の幸せのために行動できる子どもに育ちやすくなります。
ただし、自分の幸せのために子どもを放ったらかしにして良いわけではありません。子どもと向き合うこと、大切な存在だと伝えていくことが大前提です。どんなときも、子どもに愛情を注ぐことを忘れないでください。
まとめ
シングルマザーだという事実が子どもに悪影響をおよぼすことはありません。しかし、経済的な苦しさや精神面の不安定さなどが子どもに影響する可能性はあります。国や自治体が経済面に対する施策を整えたり、教育者や支援者をはじめとした周囲の方々がシングルマザーの状況に理解を示したりすることが大切です。
今回はシングルマザーが子どもに良い影響を与えるために意識したい子育てのポイントも紹介しました。4つのポイントを実践したり、シングルマザーにアドバイスしたりしてみてください。