シングルマザーの子育ては大変!悩みや解決策を知り適切に支援しよう

シングルマザーの子育てを支援するには、具体的にどんな悩みを抱えているのかを知ることが大切です。そのうえで解決策を押さえて、いざというときに手助けできるよう準備しておきましょう。

この記事では、シングルマザーの子育ての悩みと、その解決策について解説します。特に教育者・支援者の方は本記事をの内容を参考にしていただき、今後の活動にお役立てください。

シングルマザーの子育ては大変!どんな悩みを抱えている?

シングルマザーは子育てにおいて、さまざまな悩みを抱えています。代表的な悩みは以下の5つです。

  • 金銭面の不安が大きい
  • 子育てと仕事の両立が難しい
  • 心の余裕がなくなりやすい
  • 相談したり頼ったりできる人がいない
  • 偏見の目で見られることがある

それぞれの内容について、具体的にみていきましょう。

金銭面の不安が大きい

平成28年の調査では、平成27年度のシングルマザーの平均年収が200万円(手当・養育費などを抜いた場合)だと発表しています。また、シングルマザーの37.6%は年収が200万円未満という結果も出ています。これだけ収入が少ないと、単身でも生活が大変です。子どもを育てながらとなると、より一層大変でしょう。子どもの習い事や高校・大学の進学費用などの教育費はもちろん、成長につれて服が大きくなったり、食べる量が多くなったりもします。そのため、「このまま生活していけるのか」と、金銭面の不安を抱える方が多いです。

子育てと仕事の両立が難しい

シングルマザーは、子育てと仕事の両方を一人でこなさなければなりません。お金の問題もあるため、正社員のフルタイムで働いたり、アルバイトをいくつも掛け持ちしたりしている方もいるでしょう。帰宅後はご飯支度やお風呂の準備、寝かしつけと忙しいため、子どもとの時間が取りにくくなってしまいます。「仕事もしなければならないけれど、子どもにとってこの状況は思わしくないのでは」と悩む方もいるのが現状です。

また、子どもが発熱したりけがをしたりして、仕事を休まなければならないこともあります。子どもの心配をしつつも、職場に迷惑をかけてしまうことを申し訳なく思いやすいです。このように、子育てと仕事のバランスがうまくつかめず、悩む方がいます。

心の余裕がなくなりやすい

シングルマザーは、子育てや仕事のことで忙しく、リフレッシュする時間を作りにくい傾向にあります。そのため、心の余裕がなくなりやすいです。イライラしてしまい、ときには子どもの八つ当たりをしてしまう場合もあるでしょう。あとから「キツく怒ってしまった」と反省し、自己嫌悪に陥る人も多いです。すると、ますますストレスを抱えてしまい、心の余裕がなくなるといった悪循環に陥ってしまいます。

相談したり頼ったりできる人がいない

周囲に相談したり頼ったりできる人がおらず、一人で悩みを抱えてしまうシングルマザーもいます。お金の問題やシングルならではの子育ての悩みなどは、なかなか気軽に話しにくいものです。そのため、悩んだとき、困ったときに誰にも相談できずに苦しんでしまいます。人によっては「自分一人でなんとかしなければ」と思い、頼れる人が近くにいても、悩みを抱え込んでしまう場合もあるでしょう。

偏見の目で見られることがある

母子家庭というだけで、周りから偏見の目で見られることもあるでしょう。子どもがいじめにあったり不登校になったりすると、それだけで「母子家庭だから」と勝手な解釈をする人もいます。また、離婚がきっかけでシングルマザーになった場合、さまざまな理由があるにもかかわらず「子どもがかわいそう」と言い出す人もいます。このように、「シングルマザーである」というだけで、偏見をもたれてしまうことがあるのです。周囲から勝手にネガティブなイメージをもたれることにストレスを感じ、つらい思いをする場合もあるでしょう。

シングルマザーの子育ての悩みを解決するには?正しい対処法を知り支援しよう

シングルマザーの子育ての悩みを解決するには、以下のような方法が有効です。

  • シングルマザーが使える手当や助成金を申請する
  • 家事や子育ての負担を減らす
  • ほかの人の子育てと比べない
  • 働き方を変える
  • いざというときに頼れる人を作る
  • 自分のための時間を作る

それぞれについて理解し、いざというときにシングルマザーを支援できるよう体制を整えておきましょう。

シングルマザーが使える手当や支援制度を活用する

シングルマザーのお金の不安を少しでも解消するには、各種手当や助成金を活用するのがおすすめです。シングルマザーが利用できる手当の代表は、児童扶養手当です。

児童扶養手当とは、ひとり親が受け取れる手当の一つです。18歳になった次の3月31日、もしくは一定の障害がある20歳未満の子どもを育てている方が受け取れます。

受け取れる金額は以下の通りです。

子どもの人数支給額(全額受給)支給額(一部受給)
1人43,070円43,060円から10,160円
2人(加算額)10,170円10,160円から5,090円
3人目以降1人つき(加算額)6,100円6,090円から3,050円

実際の受取額は、本人の前年の所得に応じて決まります。具体的に受け取れる金額は、自治体の窓口で確認してみてください。

そのほか、自治体によっては以下のような手当や支援制度があります。

  • ひとり親の住宅手当
  • ひとり親家族等医療費助成制度
  • 子ども医療費助成
  • 児童育成手当
  • 粗大ごみ回収手数料の免除
  • 水道料金の減免
  • 保育料の免除・減額

お住まいに自治体によってあるもの・ないものがあるため、一度内容を確認してみてください。

家事や子育ての負担を減らす

家事や子育ての負担を減らすのも一つの手です。「家事も子育ても完璧にやらないと」と自分を追い詰めてしまうと、体力的にも精神的にもつらくなってしまいます。したがって、適度に手を抜いたり、ものやサービスの力を借りたりして、負担を軽くしていきましょう。家事の負担を減らすには、以下の方法があります。

  • お掃除ロボットなどの便利家電を取り入れる
  • 家事代行を利用する
  • ネットスーパーや宅配サービスを利用する

家事代行は、1時間あたり2,000円?3,000円程度で利用できる会社が多いです。お金はかかりますが家事の負担が減るので、精神的にも体力的にも余裕を作りやすくなります。週に1回、もしくは2週間に1回など、少しずつ利用してみるのも良いでしょう。また、ネットスーパーの利用で買い物の手間を減らしたり、宅配サービスでご飯を作る手間を少なくしたりするのもおすすめです。

子育ての負担を減らすには、以下の方法があります。

  • 民間のベビーシッターを利用する
  • ファミリーサポートを利用する

子どもがまだ小さく、自分一人でお世話をするのが大変なときは、民間のベビーシッターサービスを利用してみましょう。ファミリーサポート(子育て援助活動支援)とは、自治体で行っているサービスのことです。各地域の有志が保育園や学童の送迎をしたり、子どもと一緒に留守番をしてくれたりします。地域によって料金やサービスが異なるので、詳細をチェックしてから利用するのが良いでしょう。

働き方を変える

「今の働き方は自分にはあっていない」「子どもと一緒にいる時間を作りたい」というシングルマザーは、働き方を変えるのも良いでしょう。最近は、完全在宅でできる仕事も増えています。そういった仕事を選べば、比較的子どもと一緒に過ごす時間を作りやすかったり、合間に家事ができたりします。

融通のきく仕事を選ぶのも一つの手です。時短勤務ができたり残業が少なかったりするのはもちろんですが、「休日でも急に仕事が入って何かしらの対応が必要になる」「万が一子どもが熱を出したとき、仕事の内容的に休めない」といったことがあると、ストレスがたまってしまいます。金銭面との兼ね合いもあるためそう簡単にいかない面もありますが、子育てと仕事のバランスが取れず悩んでいる方は、働き方を変えることも検討してみてください。

いざというときに頼れる人をつくる

シングルマザーは、一人でいろんな悩みを抱えがちです。いざというときに頼れる人がいないと、精神的にも体力的にもつらくなってしまいます。親や友人などに頼れるのが一番ですが、どうしても難しい場合は、相談窓口を活用するのがおすすめです。相談窓口なら、どんなことでも親身になって話を聞いてくれます。親や友人に話しにくいことも相談できるでしょう。電話だけでなく、LINEやメールで相談できるところもあります。自分に合う方法で相談できる場所を選ぶと良いでしょう。

自分のための時間を作る

シングルマザーは、自分以外のことを優先しがちです。自分のことが後回しになると、心身ともに疲れてしまいます。1日5分でも良いので、自分のための時間を作りましょう。何もせず、ぼーっと過ごすのもOKです。ときどき自分を最優先する時間を作って、リフレッシュするよう心がけてください。

まとめ

シングルマザーの子育ての悩みは、軽視できないものばかりです。「一人で頑張らなくては」と思い、つらさや苦しさを隠しながら過ごしている人もいます。いつか精神的に追い詰められて、何もかも手がつかなくなるおそれもあるでしょう。教育者・支援者はシングルマザーの様子をみながら、さりげなく支えてあげることが大切です。いざというときに手助けできるよう、解決策をよく覚えておきましょう。