人々を「今より良い状態に導く」手法として取り上げられることの多いカウンセリングやコーチング。現在ビジネスやスポーツだけでなく、さまざまな分野でカウンセラーやコーチが活躍しており、子育てや教育の現場でもその需要は高まっています。
ところで、混同されがちなカウンセリングとコーチングですが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。「明確な違いについては、いまいち分からない」という人が多いのではないかと思います。
本記事ではカウンセリングとコーチングの違いを解説するとともに、コーチングが子育てに与える良い効果について考察していきます。
カウンセリングとコーチングの違いを知ることで、コーチングが子育てに活かせる理由がより明確にわかるはずです。ぜひ最後までご覧ください。
カウンセリングとコーチングの違い
カウンセリングもコーチングも、「人々を今よりも良い状態へ導く」手法であることに、変わりはありません。
しかしその目的やアプローチの仕方には違いが見られ、その違いを知ることで両者の効果もより正確に知ることができるでしょう。
まずはカウンセリングとコーチングの違いについて見ていきます。
カウンセリングとは
カウンセリングは、悩みや課題を抱えるクライアントへカウンセラーが対話を行い、彼らの苦しさの解消を目指す手法です。
主に精神的な辛さや疾患を抱えるクライアントの回復を図り、気力・活力を取り戻すことを目的とします。
クライアントが過去に負ってしまった心理的な辛さを平静な状態まで回復させ、前向きな姿勢で人生に向き合えるよう促します。
コーチングとは
コーチングはクライアントが目標を見出し、その達成まで至れるようコーチが導く手法を指します。
目標設定、アクション、課題の発見とその解決方法の策定などはすべてクライアント自身が行い、コーチは具体的な指導を行いません。
クライアントの思いを傾聴し整理しながら、クライアントをゴールまで「導いていく」のがコーチの役割です。
カウンセリングが精神的な苦しさの「回復」を図るものであるのに対して、コーチングは現状よりも先にある「目標達成」を目指す手法だと言えます。
コーチングは「成長」と「行動」を促す手法
コーチングは目標の達成を見据え、クライアントの成長と行動を促す手法です。
カウンセリングがクライアントの過去に向き合い、精神的苦痛の回復を図るものであるのに対して、コーチングは未来に達成したい目標に目を向け、クライアントが邁進することを促す活動です。
現在よりも自分を成長させ、行動を通して人生を切り開きたい人にコーチングは向いています。
コーチングの考え方は子育てにも応用できる
「成長」や「行動」を重視するコーチングが、教育や子育てにも応用できることは、容易に合点がいくことと思います。
子育てにおいては親も子も、未来のありたい姿を見出し、成長していくことが求められます。
その点で、コーチングの手法は子育てにも大きな効果をもたらすものと言えます。コーチングを子育てに活かせば、親子の成長が望めるのです。
コーチングの考え方を子育てに活かそう
コーチングはクライアントの成長を促すもので、その考え方は子育ての現場でも大きな力を発揮します。
ここではコーチングの考え方が、親子にどのような効果をもたらすか、考察してみましょう。
コーチングは親子の可能性を引き出す
コーチングの根本的な考え方は「全ての答えはクライアントの中にある」というものです。
コーチはクライアントへ何かを教えるのではなく、クライアントの内側から目標や行動への意志を引き出します。時にはしがらみや悩みも自覚させ、その解決策や考え方も、クライアント自身に考えさせます。
コーチングにおいて、コーチがクライアントから引き出しているのは「可能性」と言えるでしょう。クライアントが認識しきれていなかった可能性を可視化し、前向きな行動に変換していく活動がコーチングです。
親子がコーチングを実践すれば、親と子の可能性が引き出され、ますます成長していくことが期待できます。
子育ての目的は子どもの可能性を伸ばすこと。コーチングの目指すものは、子育ての方向性と一致しているのです。
コーチングは親の前向きな姿勢を輝かせる
ところでここで気付くのは、コーチングは子育てを行う親にも、非常に有効な手法であるということです。
子育てで親が抱える悩み事は多岐にわたります。子どもの成長のこと、家族との関係、ワークライフバランス、自分の時間が持てない等々、その苦労は枚挙にいとまがありません。
しかし根底に共通しているのは、「良い子育てがしたい」「良い親でありたい」という前向きな姿勢ではないでしょうか。前向きな気持ちはあるけれども、子育てが思うように進まず落ち込む。良き親でありたいけれど、悩みがあってポジティブでいられない。そのような思いを抱える親は多いことでしょう。
コーチングはそのような根本に前向きな姿勢がある親にこそ、大きな効果をもたらすものです。
子育てに向き合う親にこそコーチングはおすすめ
子育てに向き合う親は、多くの場面で孤独を感じてしまいがちです。子どものことや自分自身のことなど、さまざまな悩みを抱きつつも、周囲に相談できず抱え込んでしまうこともあるでしょう。
負の感情を自分の中にため込んでいても、一人でそれを客観視し、解決策を冷静に見つけるのは容易ではありません。そのようなときもコーチングは親への大きな助けとなるでしょう。
コーチングを受けることで、一人では整理しきれなかった自分の思いを見つめる機会を得て、建設的な解決策を発見することができます。
「ありたい姿」と「そこへ至れず苦しさを感じる自分」を冷静に分析でき、そんな中でも取るべき行動や、悩みへの向き合い方などが自覚できるかもしれません。
コーチングの良さを実感できた人は親へのコーチに向いている
コーチングは子育てを行う親にとっても大きな助けとなるものです。親が抱きがちな悩みを解きほぐし、前向きに子育てに臨める状況を作り出す効果が見込めます。
また、コーチング的な手法を体感している親は、子どもに対しても同様の考え方で向き合うことができるでしょう。
コーチングは相手の思いや考えを何よりも尊重・後押しするもの。子育てに活かせば、子どもの自主性や自己肯定感の醸成が期待できます。
このように子育てに大きな効果をもたらす「親へのコーチング」ですが、その広がりはまだ途上段階にあります。今後親へのコーチングの意義が広く理解され、親へのコーチが増えることが望まれます。
コーチングが子育てに与える効果について共感できた人は、「親へのコーチ」への道を検討してみてはいかがでしょうか。
コーチングの考え方を活かして、まず親が一歩前へ
この記事ではカウンセリングとコーチングの違いを解説し、コーチングが子育てに良い効果を与える理由について考察してきました。
コーチングを子育てに活かし、子どもの自主性を育む動きは徐々に広がっていますが、子育ての当事者である親へのコーチングは、まだ広く知られていません。
しかし子どもの自主性を引き出すのは、子育てに臨む親であり、親が一歩前へ踏み出すことが、子育てのあり方を変えるために非常に重要です。
今後、親を導くことのできるコーチが増え、親へのコーチングの良さが広く知られることを願っています。