子育てに向き合う親の中には、自分の時間が持てずストレスがたまったり、子どものことでいっぱいいっぱいになったりしてしまう人も少なくないでしょう。
しかし子どものことばかりが中心となり、親自身が成長を止めてしまうと、結果的に子どもにも悪い影響を与える恐れがあります。
そのために意識したいのが親の自己理解。親が自分に向き合い、育児への考え方や希望を見つめなおすことは、理性的な子育てを行ううえで非常に大切です。
本記事では、親が自己理解を深めることの大切さと、それを実践するための方法などについて考察していきます。子育てが自己犠牲的なものにならないよう、ぜひ参考にしてください。
親の自己理解とは?
言うまでもなく育児はたいへんで、多くの親御さんが日々奮闘していることと思います。生活が子ども中心になり、自分の時間が確保できないという声も多く聞かれます。
そのような生活の中で、育児のあり方が自己犠牲的になってしまうことがあります。しかし自己犠牲的な子育ては、親にも子どもにも良い影響を与えません。
まずは、親が自己理解を深め、自己犠牲的な子育てを脱することを考えなければいけません。
自己理解を深めることでより良い親へ成長できる
子育てを行う親も当然人間です。それぞれの価値観があり、別々の生い立ちを経験しています。好きなことも違えば、得意とすることも異なるでしょう。
育児に向き合う場合も、活かすべき長所、あるいは見直すべき短所があるものです。そのことを自分でも理解し、コントロールできていれば、子育てという未知の体験に対しても、理性的に臨めるのではないでしょうか。
親が自己理解を深めることは、自分の子育てへの思いを再認識し、自分の得意な領域を自覚すると同時に、自分の課題や改善点を見直すことにつながります。
そういった経験を通して、親自身も成長していくことができるのです。
親は自己犠牲的な子育てに陥りがち
しかし子どもを第一に考えるあまり、親の子育てへの向き合い方が、自己犠牲的になってしまうことがあります。
子育てに過度な責任を感じてしまい、自分の体力的・精神的限界を超えて、大きな負担を自らに強いてしまう傾向が見られます。
親が感じるプレッシャーは大きなものです。「子どもを立派に育てなければいけない」「子どもから目を離してはいけない」といった子どもに対する思いだけでなく、「『良い親』でいなければいけない」という周囲の目を意識した重圧もあるでしょう。
そのような思いを抱えていれば、自分の気持ちを押し殺してでも、子育てを最優先に感じてしまうのは当然のことです。
自己犠牲の子育ては親にも子にも悪い影響を与える
しかし、親が自己犠牲的な気持ちでいることは、親自身にも、子どもにも、好ましくない影響を与えます。
まず、親自身が子育てに対しての不満や疲労、ストレス等を感じやすくなります。そうなればほかの家族との関係も良好に保てなくなる恐れもあるでしょう。
あるいは、そのような思いを抱えている自分が許せなくなり、「自分は親失格だ」などと、自己肯定感を下げてしまうかもしれません。
さらに、親が自分を犠牲にして子どもに尽くしていると、子どもも過度に親に依存するようになります。そうなれば、子どもの心の独立の機会が制限されてしまうことにもなりかねません。
子どもにとって親はモデル
親は子どもにとっては、人生で初めて対面するモデルとも言える存在です。自分を守り、多くのものを与えてくれると同時に、どういった行動をとり、物事に対してどのような考えで取り組むのかを、学ぶ対象でもあります。
そんなとき親が自分自身を犠牲にしていると、子どもも同じような考え方をするようになります。自分のケアや、健康的な生活を重要視しない行動パターンが身についてしまうかもしれません。
そうならないために、まずは親が自分を大切にし、健康で幸福な姿を子どもに見せる必要があります。それが健全で、良好な親子関係を構築するのです。
親が自己理解を深め、子どもにお手本を示そう
そこで重視したいのが、親が自己理解を深める機会を持つことです。親が自分の子育てへの考え方、価値観、強みや弱みなどに向き合い、ストレスをためない子育てを行う必要があります。
親自身が自分をコントロールし、忙しい状況でも冷静に子育てに向かえれば、子どもとのコミュニケーションも円滑に行えるようになるでしょう。
「ついカッとなってしまった」「思わず手が出てしまった」といったことや、そのような行動へ自己嫌悪を感じることも減るのではないでしょうか。
親が自分を大切にし、自身を律している姿を、子どもも見ています。親が自己理解を深め、自分を大切にしながら時に反省もし、成長していく様子は、そのまま子どもの自己成長にもつながるものです。
親が自己理解を深める方法とは?
それでは、親が自己理解を深めるには、どのような方法があるでしょうか。
ここでは、具体的に親が自分自身を見つめ、内省を深めるための方法や考え方について解説します。
せわしない日々に追われ自分を失ってしまわないよう、ぜひ心に留めておいていただければと思います。
心と身体のケアを意識的に行う
息つく暇もない子育てで、体力的にも精神的にも疲労してしまうこともあるかもしれません。しかしそのような生活に流されていると、疲れやストレスはたまり、育児への姿勢も自己犠牲になる一方です。
それを防ぐため、十分な睡眠、休息、バランスのとれた食事や適度な運動、そしてリラックスできる時間の確保は、積極的に行いたいものです。
「それができなくて困っている」という声もあるかもしれませんが、周囲の協力を得たり、子育ての生活パターンを可視化し見直すなど、できる対策はあるはずです。
まずは自分の心と身体のケアを意識的に行う心構えを持ちましょう。
自己成長を積極的に図る
忙しい育児に追われていると、つい自分の成長は後回しになりがちです。しかしその状態を継続していては、心は疲れるばかりで、改善は得られません。
そんなとき、少しでも自己研鑽を図ろうという心構えを持っていれば、新たなスキルや知識が深まり、自分の成長を感じられるようになるでしょう。
育児に関する書籍、情報、セミナー等々を活用し自分を高める意識は、子育てにおいても良い効果をもたらします。
趣味や興味のあることに取り組む
忙しい子育ての中にあっても、自分の趣味や関心ごとには、できる限り触れていたいものです。
趣味などに情熱を傾けることで、心がリフレッシュし、子育てへ向かうエネルギーも保つことができるでしょう。
また、自分の興味ある分野へ情熱を燃やす姿は、子どもの自己成長にも良いお手本となるはずです。
周囲へサポートを求める
以上のような活動や学習は、忙しい子育ての中で時間を確保するのが難しい場合があります。また、無理矢理に取り組んでも、かえってストレスが増すばかりです。
そのような際頼りたいのは、周囲のサポートです。子育ては親一人が行うものではありません。家族、友人、地域の人々、育児関連サービスなど、周囲の助けを借りることは、長い子育てを続けるうえで必要なことです。
自己犠牲的な子育てにならないためにも、周囲のサポートは積極的に求めましょう。
親の自己理解を深めるコーチング
親が自己理解を深め、健全な子育てを行うためにおすすめなのが「親へのコーチング」です。
コーチングでは、親の希望や思いを明確にすることを大切にします。「どのような子育てを行いたいか」「どのように子どもと向き合い、どういった子に育ってほしいか」といった思いを、自覚することができます。
その思いを果たすためのプロセスや、ストレスとの向き合い方、冷静でいるための考え方なども、すべて親自身が自分で発見していきます。コーチングを通して、親は自己への洞察を深めることになるのです。
コーチングは、親自身の幸福の発見を促すもので、結果的に子どもにも良い影響を与える活動と言えます。
親が自己理解を深めることは子どもの成長にもつながる
本記事では、親が自己理解を深めることの大切さや、自分を見つめるために意識すべき心構え、実践方法などについて考察してきました。
親が幸せに、積極的に子育てへ臨めば、子どももその姿からさまざまなことを学ぶでしょう。親の成長は、そのまま子どもの成長にも通じるものです。「親へのコーチング」はそれを促す有効な方法として、今後さらなる拡がりが期待されます。
まずは親が自己理解を深め、子どもの良いモデルとなることが、結果的に子どもの成長にも良い効果を与えるでしょう。