子どもの生きる力を育むためにまず親が子育てへの「主体性」を持とう

子どもの「生きる力」を育てることは、今日の教育においてたいへん重要視されています。

これからの予測不能な社会を生き抜くために、自ら考え、自主的に行動を起こす力は、未来を生きる子どもたちにとって確かに大切になるでしょう。

ところで、そのような子どもの生きる力を育むために、親にはいったいどのような姿勢が求められるのでしょうか。

本記事では子どもの生きる力を育むために必要な、親の子育てへの向き合い方について考えてみたいと思います。

子どもが身に付けるべき「生きる力」とは?

そもそも子どもが身に付けるべき「生きる力」とは、どのようなものなのでしょうか。社会的背景をふまえながら、生きる力の重要性について見ていきましょう。

「主体性」を持って生きることが大切

2020年度からスタートした新しい学習指導要領では、子どもの「生きる力」を育むことが、最重要視されています。

知識や技能の習得、思考力や判断力を磨くことに加え、学んだことを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力」、「人間性」などが強調されています。

IT技術の進化や、価値観の多様化などによって、これからの社会は従来の考え方では対処しえない未来を迎えつつあります。

そのような社会を生き抜くには、自らどう生きるべきかを判断し、自己実現を果たすべく、自分から学び、行動していく態度や能力、いわば「主体性」が必要となるのです。

保護者の姿勢も重要視されている

それと同時に、保護者の働きかけが、子どもたちの「生きる力」を育む大きな原動力となることも示されています。

学校での学びを日常生活で活用したり、家庭での経験を学校生活に生かしたりする姿勢が、子どもが身に付けるべきものとして明示されています。

家庭において子どもを導く存在である親もこの状況を理解し、子どもの生きる力を育むために行動する必要があるのです。

子どもの生きる力を育てる親の「主体性」とは

子どもは、親の生きる姿勢を見て育ちます。言い換えれば、親が子育てにおいて主体的な意識を持つことが、結果的に子どもの主体性も育むことになるのです。

ここでは、親が主体的に子育てに向かうために必要な考え方について、見ていきたいと思います。

子育てで親は主体的な姿勢を失いがち

子どもの主体性を育てるうえで、親が主体的に生きている姿を見せることはとても重要です。しかし、子育てにおいて、親は主体的な姿勢を失いやすい傾向にあります。

「思うように子どもが言うことを聞いてくれない」「子育てが理想通り進まず嫌になってしまう」「子どもにイライラして、つい声を荒げてしまった」。こういった声は、子育てを行う親たちから頻繁に聞かれるものです。

そういった負の感情を抱えているうちに、子育てへの自信を失ってしまったり、過度なプレッシャーから子育てへの積極性を欠いてしまったりすることもあります。

しかしそのような消極的な姿勢でいることは、子どもたちの成長にも悪い影響を与えかねません。

親が主体性を失い、子育てにおける目標や希望に対し消極的な態度を取っていると、子どもも自らの意志を軽視するようになる可能性があります。

逆に親が子育てへの積極的な態度を持ち、子育てにおいても親自らが自己実現を図ろうとしている姿勢でいると、子どもも同様の考え方を身に付けられるようになるでしょう。

まずは親が子育てへの主体性を見直すことが大切

親が子育てに対し、自己嫌悪を感じたり、消極的になってしまったりした際に行うべきなのは、改めて子育てへの自分の希望や思いを見つめなおすことです。

子育てで感じる負の感情は、言い換えれば「こうありたい」「このように子育てを進めたい」という思いの裏返しでもあります。希望があるからこそ、それがうまくはかどらなくて、自信を失っているのではないでしょうか。

それであれば、改めて自分の子育ての目標がどこにあり、それを実現するためにどう行動すべきか。うまくいかないことがあれば、どういう心持ちで対処すべきか、などを改めて見直すことが大切だと言えます。

子育てには想定外のことや、思い通りにいかないことがたくさん起こります。しかしその都度、思うようにいかないことに悩んだり、苛立つ感情に流されたりするのではなく、自分の目標と照らし合わせ、どう対処すべきかと考えられれば、より理性的に子育てに向き合えるようになるはずです。

子育てへの「主体性」を見直す方法

親が子育てへの主体性を保つには、どのような方法を用いれば良いのでしょうか。

考え方や、生活習慣など、複数の観点から考えてみたいと思います。

目標と優先順位を明確にする

子育てへの主体性を保つために第一に必要となるのは、子育ての目標や優先順位を明確にして、しっかり自覚することです。

これが定まっていないと、目の前の出来事に一喜一憂したり、何を重要視するのかが不明瞭になったりする恐れがあります。

子育てにおける目標や優先順位が普段から自覚できていれば、日々自分自身の成長も意識でき、子育てがより主体的になるでしょう。自己実現を果たすための自己管理能力も増すはずです。

自身のケアを怠らない

自分自身の心身のケアを怠らないことも非常に重要です。

子育てには休みがありません。自己ケアの意識を持っていないと、忙しい毎日にひたすらに追われ、いつしか気力も体力もすり減っている、という状況になりかねません。

日頃から、休息や食事、運動などの生活習慣、ストレス管理など、意識的に健康な心身を保とうとする姿勢は、子育てへの主体的な姿勢を失わないためにも、極めて重要な要素となります。

また、そのような自己をいたわる態度は、子どもたちにも良い影響を与えます。

ときには周囲に助けを求めながら、自分自身のケアを大切にすることは、子育てにおいても極めて重要です。

継続的な学びの姿勢を持つ

親も決して完璧な人間ではありません。未熟なところや、まだまだ成長できる要素を多分に持っています。

子育てをしていると、自分を高めるという考え方が失われがちですが、それは好ましくありません。親であっても、自分の好奇心や探求心を大切にし、常に成長を果たそうとする姿勢が、子育ての自主性を養ううえでも重要になります。

またそのような親の姿勢を見て、子どもたちも大いに刺激を受けるはずです。親が自己探求している姿は、そのまま子どもの自己成長を求める態度を、育むことにつながるはずです。

専門家に相談する

子育てにおいて迷ったときは、専門家に相談することも良い打開策となる場合があります。

例えば、コーチングの考え方は、親の自主性を伸ばすためにも大きな効果をもたらします。

コーチングは親自身に、希望や目標の探求を求めます。それまで自覚できていなかった、子育ての理想の形や、ぼんやりとしていた子育ての価値観がコーチにより整理され、明確に自覚できるようになります。

そうなれば、目の前の出来事に一喜一憂したり、感情にのまれ自己嫌悪になったりすることも減るでしょう。

自分自身をコントロールできるようになり、より主体性を持って子育てに臨めるようになるはずです。

コーチングのような専門家の助けを得ることは、自分の子育てへの思いとジレンマを自覚し、主体的に子育てを進めることへの大きな助けとなるはずです。

子どもの生きる力を育むために親も子育てへの主体性を大切にしよう

本記事では、現代の教育で最重要視されている「生きる力」を育むために、親に求められる姿勢について考察してきました。

子どもたちが自分たちの人生を自ら切り開いていく能力を身に付けるには、まずはお手本である親が主体的に生きている姿を見せる必要があります。

親が自分の目標を明確化し、自己ケアも大切にしながら、自己成長を図っている姿勢は、子どもにとっても大いに刺激となるはずです。

ときにはコーチングなどの専門家の支援も受けながら、親が主体的に子育てに臨む姿が、結果的に子どもたちの主体性を育むことにもつながるのです。