子どもに自信を取り戻させる「強みを引き出す」という考え方

「自分には価値がない」
「自分は何をやってもだめな人間だ」

など、自信を失ってしまう子どもたちがいます。

本来、人は誰もが自身の長所を生かし、みずからの人生を歩んでいくべきです。当然、苦手なことも、上手くいかないこともありますが、試行錯誤しながら、自分のやり方で、自分の生き方を掴んでいけば良いはずです。

しかしどうしても自信が持てずに、チャレンジすることすらあきらめてしまう子どもたちがいます。そうなるといくら大人が「頑張れ」と声をかけたところで、本人は希望が抱けず、頑張る意味を見出せなくなってしまうでしょう。

本記事では自信が持てない子どもたちに勇気を与える、「強みを引き出す」という考え方について考察していきます。この考え方を親や大人が持ち合わせていれば、子どもたちの未来はもっと希望に満ちたものになるはずです。

どうして子どもが自信を失ってしまうのか

子どもたちのなかにも、自信たっぷりにのびのびと活動している子どもと、自信を持てず何事にも消極的な子どもがいます。

いったいどのような経験が、子どもたちから自信を奪ってしまうのでしょうか。その理由を考えてみたいと思います。

ありのままを褒められた経験がないから

親や先生から褒められるという経験は、子どもたちに大きな自信を与えます。

褒めるというと、子どもが何かを成し遂げた場面が想定されるかもしれません。「テストで良い点が取れたから」「部活動で良い成績を収めたから」など、なにかしらの条件下でのみ、大人は子どもを褒めてしまいがちです。

しかし何気ない普段の生活の中でも「あなたは思いやりがあるね」「君のチャレンジ精神はすごいね」など、いくらでも褒める場面はあるものです。

何かを成さないと褒められないという経験は、かえって子どもたちから自信を奪います。結果を出せない自分には価値がないと考えてしまうかもしれません。

大切なのは子どものありのままの姿を大いに褒め、認めてあげることです。

結果ばかりを求められるから

結果ばかりを求める親の態度も、子どもたちから自信を奪ってしまいます。受験の合格や、スポーツでの勝利の影には、多くの不合格者や敗者が存在します。しかし、その不合格者や敗者が努力していなかったかというと、けっしてそんなことはありません。

しかし、結果を上げたときだけ認められ、そこにいたるまでの過程が評価されない子どもは、自分は結果も出せないだめな奴と、自信を失ってしまうでしょう。

何かしらの結果を残すのはうれしいことです。しかし仮にめざましい結果がなくても、そこを目指して努力した過程に、親や大人は目を向けてあげなければいけません。

他人と同じものさしで比較されるから

勉強の成績や受験の合否、部活動での成果など、特定のものさしで子どもを測る態度も、子どもたちから自信を奪います。

たしかに、試験に合格したり、部活動で結果を出したりなど、一定の分野で成果を上げる子どもたちもいます。もちろんそのことは高く評価されるべきであり、本人たちにはその経験が大きな自信につながるでしょう。

しかし当たり前ですが、人のすばらしさを測るものさしは、そのような画一的なものではありません。目に見える成果や結果がなくても、良い部分や得意とすることは、どの子どももそれぞれに持っています。

そこを特定のものさしで無理に測り、「あの子にはできてお前にはできない」「どうしてお前だけダメなんだ」などと比較したら、当然子どもたちは自信を失い、自分の得意分野ですらチャレンジしていく意欲を失ってしまうでしょう。

子どもが自信を失うことの弊害

自信を喪失することは、子どもたちにどのような影響を与えるでしょうか。

ここでは子どもたちが自信を無くしてしまった場合の弊害について考えます。

自主的に行動する姿勢が育たない

自信を失ってしまった子どもたちは、自分から何かを求め活動していくという、自主的な姿勢を育てられない場合が多いです。

「どうせ僕にはできない」「やりたいことをやってもだれも認めてくれない」など、何事に対しても消極的になってしまいます。

しかし社会に出たら、自主的な行動なしに自分の人生を切り開いていくことはできません。ましてやこれからの社会は、従来の価値観や一般的とされる生き方が変容を遂げていく状況にあります。

自ら考え、自信を持って行動していく姿勢は、未来を生き抜くためにも必要な能力です。自信が持てない子どもたちは、そのような力を身に付けられない恐れがあります。

子どもの本来の能力が発揮されない

子どもは誰もが独自の能力を持っています。その内容は違っても、自分の能力を最大限生かして生きることが、自分らしい生き方につながります。

しかし自信がない子どもたちは、自分の能力を発揮することすら躊躇します。「自分はなにをやってもだめだ」という考えから、あらゆる物事に消極的になってしまうでしょう。

また、失敗や挫折を、非常に恐れる傾向も見られます。自分の得意分野を伸ばそうとしても、その過程で失敗し、周囲から冷たい目を向けられたり、ふがいない思いを感じたりすることを極端に恐れます。

とはいえ、いくら得意分野であっても、人はみな失敗を経験します。勝負に負けることもあるでしょう。悔しい思いもするはずです。しかしそのような状況から試行錯誤して、あきらめずに努力することが、人生を輝かせることにつながるのです。

自信がないまま本来の自分を押し殺していては、状況は一向に良くなっていきません。

強みを引き出すことが子どもに自信を与える

それでは子どもたちに自信を与え、みずからの人生を切り開く力を身に付けさせるには、親にどのような姿勢が求められるのでしょうか。

そこで大事になるのが、子どもたちの「強みを引き出す」という考え方です。

強みを引き出すことが、子どもたちにどのような良い影響を与えるのか、見ていきましょう。

強みを伸ばすことは子どもの自主性も育てる

大人が「強みを引き出す」という姿勢で子どもに接すれば、子どもは自信を身に付けていきます。

重要なのは、「何かができた」から褒めるのではなく、ありのままに持ち合わせている個々の良さ、強みを、ピックアップし評価してあげることです。そうすることで子どもたちは自分でも意識していなかった良さに気付け、「自分はありのままで認められているんだ」という安心感を得るでしょう。

そうなれば未知のことにチャレンジする自分も、肯定的に捉えられるようになります。興味のあること、得意とする分野へ自主的に挑み、判断力、決断力、行動力、その他さまざまな「生きる能力」をみずから模索していけるようになるはずです。

失敗も成長の糧になる

人は生きる過程で必ず失敗を経験します。失敗という経験を、より良い方向へ活かすか、あるいは意気消沈してチャレンジを止めてしまうかが、明るい未来への分かれ道になります。

自分の強みを知り、自信を抱いている子どもたちは、その失敗も、成長の糧として捉えられるようになります。一時的に落ち込むことはあっても、やがて活動の意欲を取り戻し、失敗を分析し、対策を練って、新たなチャレンジへ歩みを進めていけるでしょう。

短所は強みを見つけるヒント

親のなかには子どもの短所ばかりが目に付いて、「うちの子に強みなんかない」と考えてしまう人もいるかもしれません。しかし短所は、強みを見つけるヒントであることも多いです。

一見おとなしくて、何事にも引っ込み思案な子どもは、周囲の考えを思いやる優しさを持ち合わせているかもしれません。あるいは高い分析能力や、状況察知スキルに長けている可能性もあります。そのような能力は磨けば大きな力となるはずです。

落ち着きがなく、なにかに集中して取り組めない子どもも、その好奇心を活かし、本当に夢中になれるものを見つければ、そこから大きく未来が開けることもあります。

大切なのは、親や大人が、子どもたち皆に強みがあることを理解し、それを発見し、伸ばしてあげようとすることです。

強みを引き出し、子どもの自信を育てよう

本記事では、子どもが自信を持つことの大切さと、それを引き出すために親が「強みを引き出す」ことの重要性について解説しました。

子どもは誰もがそれぞれの良さを持っています。自分のありのままの良さを知り、自信を持って物事に取り組む姿勢が、未来を切り開く力を育みます。

親や大人の、子どもの「強みを引き出す」姿勢が、子どもたちの生き生きとした未来を育むことにつながるのです。