子どもの可能性を引き出すヒント 親の向き合い方が子どもを伸ばす

子どもは誰もが大きな可能性を持った存在です。それぞれの個性もたいへん豊かで、みな「得意なこと」や「好きなこと」などを持っています。

そのような個性を伸ばすことは、子どもの自己肯定感をはぐくみ、人生を自分の力で切り拓こうとする、自主的な態度をそだてます。子育てにあたる親は、ぜひ子どもたちの個性を尊重し、彼らの可能性を広げてあげたいものです。

本記事では、子どもの可能性を引き出すために、親にできるはたらきかけのヒントを紹介します。忙しく、たいへんなことも多い子育てですが、子どもがのびのびと成長していけるために、ぜひ覚えておいてください。

子どもの可能性を引き出すために親が覚えておくこと

さまざまなことに気を配らなければいけない子育て。忙しい日々に追われて、じっくり子どもに向き合う機会が減ってしまうこともあるでしょう。

それでも、親がはたらきかけ方、話しかけ方をちょっと工夫するだけで、子どもに良い影響を与えることができます。

親の思いやりのある言葉が子どもの自信を育てる

ちいさな子どもにとって、親はもっとも身近な存在です。そして同時に、もっとも影響力のある、非常に大きな存在でもあります。

親の態度や発する言葉、行動によって、子どもはさまざまな感情を抱きます。喜びも、哀しみも、楽しさも、辛さも、親のはたらきかけ方次第で、子どもはさまざまな感覚を日々の生活に感じることとなります。

叱ってばかりいれば、子どもは親におびえる毎日を送ることになるでしょう。また親が子どもに無関心だと、子どもは「自分は大切にされていない」と感じるかもしれません。

逆に何気ない行動を褒められたり、ちょっとした考え方を認められたりすれば、子どもは自分の行動や感覚に、自信を抱けるようになるかもしれません。

誰もが強みを持っている

子どもは誰もが強みを持っています。もちろん普段の生活のなかで、見えやすい「強み」もあれば、見えにくい「強み」もあります。しかし、どの子も個性を持っていて、それぞれに可能性を秘めていることは紛れもない事実です。

日々の生活には、規範やルールがあります。「これができた方は偉い」「子どもはこうあるべき」。そのような一般的な考え方があるのも、仕方のないことかもしれません。

しかし、そういった考え方ばかりに縛られ、子どもを「良い子か、悪い子か」「できる子か、できない子か」といった画一的な尺度で判断するようになると、子どもの本来の強みを見失う恐れがあります。

「集中力がないようだけど、人一倍好奇心が旺盛」「動きが遅いようだけど、なにかに熱中するともの凄い集中力を発揮する」など、一見弱点と思えるところから、その子の個性が見い出せることもあります。

「子どもはみな、それぞれの強みを持っている」という観点は、どの親も忘れてはいけません。

子どもの可能性を引き出すために親が注意すること

子どもは誰もが強みを持っていて、大きな可能性を秘めています。そして、それを活かせるかどうかは、親のはたらきかけ方にかかっています。

ここからは、子どもの可能性を引き出すための注意点について見ていきましょう。

親の価値観で子どもを判断しない

親が子どもと向き合うなかで陥りがちなのが、親の価値観をすべての判断材料としてしまうことです。

子どもの興味関心ごとを、「将来役に立たないから」と否定してしまったり、親が嫌いな事柄に興味を持った子どもを、真っ向から否定してしまったりすることがあります。

しかしそのような興味のなかに、子どもの大きな可能性が隠れていることもあります。親は子どもの考え方を自分の価値観で判断するのではなく、広い心で受けとめてあげる姿勢が必要です。

「こうあるべき」を押し付けない

子育てでは「ダメなものはダメ」と、しっかり教えなければいけない場面があります。もちろん、やってはいけないことをやったときなどは、そのような指導も必要でしょう。

ただし、いつも「こうあるべき」という態度で子どもに接していると、子どもの価値観は親一色になります。物事の本来的な良し悪しよりも「親が良い顔するかどうか」が価値基準となり、自分で決めたり考えたりする思考を、重要視しなくなる可能性があります。

子どもの可能性をはぐくむために、親は自分の「こうあるべき」思考を、抑える努力も必要かもしれません。

子どもの興味に先回りしない

子どもが何かに興味を持つと、親はつい「先回り」したくなります。

「これは将来役に立つな」と思える物事は重要視し、「これは何の利益にもならない」と判断したことは否定したくなるかもしれません。

あるいは、「どんなに頑張ってもプロにはなれないからやめときな」「男の子(女の子)でそんなことに興味を持つのはカッコ悪いよ」などといった言葉をかけてしまうこともあります。

人生経験豊かな親から見たら、確かにその指摘は正しいかもしれません。しかし、何事も先回りして否定ばかりしていると、子どもは自分が何をやりたいのかが分からなくなります。

また、親に勧められたことばかりやっていても、やがて目的を見出せなくなり、心から楽しめない状況に陥るかもしれません。

親が先回りしたくなる背景には、「子どもには失敗させたくない」という思いがあるかもしれません。しかし失敗や挫折を経験することも、子どもにとっては大きな経験になります。そこから新たな気づきを得て、予想もしないような飛躍を遂げることもあるのです。

親は子どもの興味関心ごとに先回りせず、むしろ背中を押してあげるような気持ちでいる方が好ましいのではないでしょうか。

子どもの可能性を引き出す親の行動とは?

それでは、親が子どもの可能性を引き出すには、具体的にどのようなはたらきかけ方を意識すればよいのでしょうか。ここでは親のとるべき行動に注目して、見ていきたいと思います。

子どもの話をしっかり聞く

まず何よりも大切なのは、子どもと十分なコミュニケーションをとることです。子どもの話に耳を傾け、それをしっかりと受けとめてあげることが重要です。

もちろん子どもの言うことのなかには、未熟なことも、間違っていることもあるでしょう。論理的でないことや、いかにも子どもっぽい話もあるかもしれません。

それでも話を受けとめてあげると、子どもには「自分の意見や考えは受け入れてもらえるものなんだ」という自信が付きます。この自信がつけば、子どもはどんどん物事をアウトプットするようになるでしょう。

その行動パターンが、新たな物事へ挑戦する姿勢をはぐくみます。

子どもの考え方を尊重する

子どもの話を聞き、行動を見守る際、親に求められるのは子どもの考え方を尊重してあげる態度です。

「良い・悪い」「役立つ・役立たない」といった観点で判断するのではなく、まずは「君はそんな風に思ったんだね」「〇〇君はこれが好きなんだね」など、ありのままを受けとめてあげると良いでしょう。

不自然に褒めちぎったり、無理矢理に「良い部分」を見出したりする必要もありません。まずは子どもの考え方を、そのまま認めてあげることが重要です。それを繰り返すうちに、子どもに自分で考え行動していく力が身についていきます。

そのうえで、注意すべきことがあれば注意する。良いと思うことがあれば評価する。そのように向き合うことで、子どもは自分の行動に責任を持てるようになります。

ちいさな成長を言葉にして伝える

子どもが何かに取り組んでいるなかに、ちいさくてもいいので「成長」を見出し、それを言葉にして伝えてあげると、子どもにとって大きな自信となるでしょう。

子どもは自分の考えを分析したり、客観的な視点を持ちながら行動しているわけではありません。ましてや「自分の強みを伸ばすんだ」などという気持ちで何かに取り組む子どもなどなかなかいません。

そんなときに親から「君は成長してるね」と言われると、子どもは自分の成長を自覚できるようになります。その自信を胸に、色々なことにチャレンジできるようになるでしょう。

成長の「中身」はちいさくてもかまいません。また一見後退と思えるようなことも「これも成長だよ」と言われれば、前向きに捉えることができます。

ちいさな成長を言葉で伝える。このことが子どもに与える自信は、とても大きなものです。

子どものありのままを受けとめ、可能性をはぐくもう

本記事では、親が子どもの可能性を引き出すヒントについて解説してきました。

大切なのは、子どもの行動や興味関心ごとを、親がありのまま受けとめてあげることです。それが将来役立つかどうかや、世間的に好ましいかといったことは二の次で、まずは子どもの自由な発想を、伸ばしてあげることが重要です。

そうすることで子どものなかに「自分はありのままの状態で認められているんだ」という自信がつきます。その自信があることで、自主的に行動していく意欲がわき、結果的にそれぞれの可能性を広げることができます。

子どもが「自主性」を身に付けることは、これからの社会を生きるうえで何よりも大切なことです。そのために、親は子どもが自由な発想でのびのびと成長していけるような後押しをしてあげたいものです。