子どもの発達段階に応じた他者の対応の重要性|エリクソンの8つの発達段階

「子どもの行動が理解できない」
「子どもの適切なサポートの方法がわからない」
そんな悩みをお持ちの方に、子どもの発達段階について解説します。

子どもの発達段階を理解することで、子どもの行動の意味や、発達段階に応じた適切なサポート方法がわかるようになります。

この記事では、3大発達段階説の1つであるエリクソンの8つの発達段階を解説し、子どもの発達段階に応じた他者の対応の重要性を考えていきます。

子どもの発達段階とクリアすべき課題を知ると、子どもに対して適切なサポートを行えるため、興味のある人はぜひご覧ください。

子どもの発達段階とは?

子どもの発達段階とは、子どもの成長過程で多くの子どもに共通してみられる特徴を、段階ごとに分類したものです。

子どもの成長には個人差がありますが、成長の流れはおおよそ同じです。
そのため、発達段階を知ることで、子育ての不安や悩みが解消する可能性があります。

子どもの発達段階としては、3大発達段階説が有名です。
3大発達段階説は、以下の3つを指します。

  • エリクソンの心理社会的発達理論
  • フロイトのリビドー発達段階理論
  • ピアジェの発生的認識論

子どもの発達段階を知ると、発達段階ごとにクリアしなければならない課題が理解できます。
子どもが乗り越えるべき課題を理解することで、子どもの行動の意味や適切なサポート方法をみつけるのが容易になります。

子どもの行動をしっかりと見守り、どの発達段階にいるのかを認識しておきましょう。

なぜ子どもの発達段階を知る必要がある?

子どもの発達段階を知ると、子どもに対して適切なサポートを行えるためです。

子どもには、発達段階ごとにクリアしなければならない課題があるとされています。
子どもは課題を解決するために障害を乗り越え、成長していきます。

しかし、課題を解決できずに次の発達段階に進んでしまうと、その後の発達に支障がでる可能性があります。
例えば、乳児期に周囲に信頼感をもてなかった子どもは、次の幼児前期のイヤイヤ期でうまく自分の気持ちを表現できないかもしれません。

発達段階ごとにクリアしなければならない課題には、周囲が大きく関わっています。
周囲が発達段階ごとの課題を知ることで、必要なときに適切なサポートを行えるようになります。

そのため、周囲が子どもの発達段階を理解することは、子どもの成長にとって大切です。

ここからは、3大発達段階説の1つである、エリクソンの8つの発達段階を紹介していきます。

エリクソンの提唱する8つの発達段階

エリクソンの提唱する8つの発達段階は、人生を8つの段階にわけて、段階ごとに心理的課題と危機、課題達成により得られる要素を表したものです。
発達段階ごとに危機を乗り越えて課題をクリアすると、成長に必要な要素を得られます。

エリクソンの発達段階は、以下の8つです。

  1. 乳児期
  2. 幼児前期
  3. 幼児後期
  4. 学童期
  5. 青年期
  6. 成人期
  7. 壮年期
  8. 老年期

この中でも、特に周囲のサポートが必要になるのが、幼児期から青年期までです。
年齢でいうと、おおよそ生後から18歳までの間を指します。

それでは、発達段階ごとの特徴を具体的にみていきましょう。

1.乳児期:生後~1歳6か月

乳児期は、子どもが信頼感を得ていく時期です。

生まれたばかりの子どもは、1人では生きていけません。
そのため、周囲に対して「泣く」という表現で、自分の気持ちを伝えます。

泣いたときに、周囲から適切な世話を受けることで安心して、周囲を信頼できるようになります。

反対に、泣いても誰も助けてくれない状況で育つと、周囲に対して不安や不信感をもち、人生観に悪影響を及ぼします。

2.幼児前期:1歳6か月~3歳

幼児前期には、子どもが自分の意志をもつようになります。

「イヤイヤ期」ともよばれ、自分でなんでも挑戦したい!と思うようになります。
この時期に様々なことに挑戦してできるようになると、自分に自信がつき、意思をもてるようになります。

しかし、周囲が子どもの挑戦を阻害すると自立できず、自分の意思をもてません。
子どもの失敗を過剰に批判するのも、挑戦の阻害に含まれます。

挑戦を阻害されると、自分が周囲に信用されていないと感じ、周囲に対して不信感をもつようになります。

3.幼児後期:3歳~5歳

幼児後期は、自発性が生まれます。

幼稚園や保育園に通い、友だちと過ごす時間が増えることで、「知りたい」や「やってみたい」気持ちがでてきます。

その際に周囲がおしえてあげたり、反応してあげたりすると、自発性が育まれます。
このとき、自発性が間違った方向にいかないように、見守ってあげることが大切です。

反対に、周囲が無視する・面倒くさがるといった行動をすると、子どもは罪悪感を抱くようになります。
罪悪感を抱いた子供は、自発的に物事に取り組むことが難しくなります。

4.学童期:5歳~12歳

学童期は、勤勉性が発達します。

小学校で様々なことを学び、課題に取り組みます。
課題を達成すると、子どもは有能感を感じ、自信をもてるようになります。
その結果、勤勉性が身につくのです。

反対に、失敗や苦手がでてきたとき、周囲がフォローしないと、子どもは劣等感を抱くようになります。
課題を自分でクリアできる場合は問題ないですが、クリアできなかったときに周囲がフォローできるように見守る必要があります。

5.青年期:12歳~18歳

青年期は、同一性が発達します。

青年期には、自分らしさに悩み、「将来どうすべきか」や「何になりたいか」を考えるようになります。
考えた結果、自分がどのような人間なのか知ることができると、同一性を得ることができます。
自分らしさがわかると、今後の社会とのかかわり方を考え、将来に向けた行動を起こせるようになります。

反対に、自分らしさが分からないと、同一性が定まりません。
「自分が何者なのか」や「何を目標にすればよいのかわからない」といった悩みが生じ、社会の中で自分の居場所が見つけられず苦しむことになります。

6.成人期:18歳~40歳

成人期には、愛や幸福が得られます。

自分を確立し、友人や社会、恋愛で信頼できる人と仲を深めていきます。
恋愛では、結婚に至ることもあります。

成人期には、「相手に受け入れられないときどうするか」や「自分を否定されたときどうするか」などを考え、孤独と立ち向かうことになります。

孤独に立ち向かい、自己を確立できると、信頼できる人との愛や幸福が手に入ります。

反対に、課題をクリアできないと、他人と積極的に関われなくなります。
人とのかかわりを拒絶し、深い付き合いができないため、孤立します。

7.壮年期:40歳~65歳

壮年期には、世代性が発達します。

自分の経験や前の世代に教わったことを、次の世代に伝え、社会に貢献します。

反対に、次の世代に興味がなく、世代間の繋がりをもたずに自分の世代のことのみ考えていると、次世代に何を残すか意識できません。
そのため、自分の存在する意味がわからなくなってきます。

8.老年期:65歳以降

老年期には、自己統合を得られます。

老年期は、多くの人が退職し、子育てを終える時期です。
この時期に、自分の人生の意味を見出し、人生にうまく折り合いをつける必要があります。

反対に、自分の人生の意味を見つけられないと、絶望に陥ります。
自分の人生に意味があったと思えず、死を受け入れられません。

子どもの発達段階に応じた他者のサポートが重要

子どもの成長には、子どもの発達段階に応じた他者のサポートが重要です。

今回紹介したエリクソンの8つの発達段階からもわかるように、子どもの成長に応じて、クリアしなければならない課題があります。

課題をクリアするには、子どもが今どの発達段階にいて、どのようなサポートを必要としているか、周囲が把握しておくことが大切です。

子どもの発達段階に応じた課題をクリアしていくと、子どもに自信がつきます。

子どもに対して適切なサポートができるように、子どもの成長を見守っていきましょう。