HSCの自己肯定感が低いのはなぜ?HSCが自己肯定感を高めるために周囲がすべきことを解説

HSC(Highly Sensitive Child)と呼ばれるひといちばい敏感な子たち。
HSCはなぜ自己肯定感が低くなってしまうのでしょうか?
この記事ではHSCの自己肯定感が低くなる理由を解説しています。
また、HSCが自己肯定感を高めるために親や支援者などの周囲がすべきことを解説します。

HSCの自己肯定感が低くなる理由

HSCの自己肯定感が低くなる理由は以下の4つです。

  • 親のしつけの影響を受けやすい
  • 完璧主義である
  • 手のかからない子になりやすい
  • 集団行動・集団生活が苦手

それぞれについて解説します。

親のしつけの影響を受けやすい

HSCは親から少し注意されたことや、しつけと思って伝えた言葉を「否定された」「自分はダメな人間なんだ」と受け取ってしまう傾向にあります。
例えば、道路が近くて危ないときに「走らないで」と否定語で伝えると、その思いは強くなります。
そのため、HSCにしつけや注意をするときは否定語ではなく肯定語で伝えると自信を無くすことはありません。

「走らないで」は「歩こうね」と言い換えられますし、「声が大きいよ」は「小さい声で話そうね」と言い換えられます。
しつけや注意は否定するのではなく、いまどうして欲しいのか、どうしたらいいのかを具体的に伝えることでHSCにとって受け入れやすく、自己肯定感を下げない伝え方になります。

完璧主義である

HSCは自分に厳しく、完璧主義である一面が見られます。
また、物事をネガティブにとらえる傾向にあります。
例えば、友達や先生に話しかけた時に反応がなかったり返事をしてもらえなかったとします。
普通なら「聞こえなかったのかもしれない」といった捉え方をし、自分に責任があるとは思いませんよね。

しかしHSCは「嫌われたのかもしれない」「私のことが嫌だからわざと無視したのかも」とネガティブに受け取り、どんどん自己肯定感が下がる原因となります。
また、多少のミスを「まぁいっか」と流せず、「こんなことでミスするなんて自分はなんてダメな人間なんだ」「テストで100点じゃないなんてダメだ」という考えになり、自分を認められないために自己肯定感が下がります。

少しの失敗が他の子と比べ大きなストレスとなりやすいです。

手のかからない子になりやすい

HSCは人の気持ちに対してもひといちばい敏感な性質を持っています。
そのため、「これをやったら喜んでくれるはず」「親はこういう自分を求めてる」ということを敏感にキャッチします。
そのため、親が口を出す前にとってほしい行動をとることもあります。
周りから見ると「聞き分けの良い育てやすい子」「手がかからない子」に見えます。

いい子であればあるほど親も手をかけなくなるため、さらに自分で考え動こうとします。
そのため、周りから充分に手や目をかけてもらえないまま成長することもあります。
大人になった時、困っても周りを頼ることができない、自分ですべての仕事を抱え込んでしまいキャパオーバーになることも。
そうならないために、小さいころは聞き分けがよくてもしっかり手をかけ目を配り、困ったときは誰かを頼るのがいいと伝えるのも大切です。

集団行動・集団生活が苦手

HSCは聴覚刺激や視覚刺激などを他の子より敏感に受け取る傾向があります。
そのため、集団のざわざわした場所や集団行動が苦手な特徴を持ちます。
周りから見ると神経質で引っ込み思案に見えることも。
集団行動ができない場合、友達や先生からとがめられるきっかけになることもあります。

よって「周りと同じことができないなんて自分はダメだ」と自己肯定感が下がってしまいます。
感覚刺激の受け取り方に偏りがあるだけの場合、周囲が理解することが大切です。

HSCが自己肯定感を高めるため周囲がすべきこと

HSCが自己肯定感を高めるために、周囲がすべきことは何なのでしょうか。

  • 子どもを信じる
  • 気持ちに共感する
  • 課題はスモールステップで
  • 安心感の持てる環境を作る
  • その子自身のペースを大切にする
  • 周りと比べない

それぞれについて解説します。

子どもを信じる

感覚刺激が敏感なお子さんは「この音うるさいから怖い」「この服が嫌い」と言ってくる場合があります。
お子さんからの訴えには必ず理由があります。
そのため、「そんなわけないでしょ」「我慢しなさい」などと言ってしまうと「親(または周りの大人)は自分のことを理解してくれない」と信用できなくなります。

感覚刺激の受け取り方は人によって違い、感じ方は本人に聞くことでしかわかりません。
お子さんの訴えをしっかりと聞き、信じることが大切です。

気持ちに共感する

お子さんが不安や感覚刺激に対する不快を訴えたら、否定せず共感しましょう。
「服の袖が濡れて嫌なんだね」と共感してもらえるだけで、お子さんは「受け入れてもらえた」「わかってもらえた」という気持ちになり安心します。
また、嫌だったけど頑張った体験には「よく頑張ったね」と褒めましょう。

周りの子が楽しみにしている運動会や発表会などの行事でも、HSCは苦手な子が多いです。
頑張って参加出来たら思い切り褒めましょう。

課題はスモールステップで

新しいことに挑戦するとき、いきなり高いレベルを求めてはいけません。
失敗すると「自分はダメだ」と思い、再度挑戦するのは難しい場合が多いからです。
まず、絶対に達成できそうな簡単な課題から取り組みましょう。
人は「できた」という達成感を持つことで、次への課題に取り組む気持ちが芽生えます。

特にHSCは失敗したことにショックを受けやすいため、必ずスモールステップで進めましょう。
また、親や支援者からみて明らかに難しそうな課題にチャレンジしているときは、気付かれないようにそっと援助し、成功体験に導くのも一つの方法です。

安心感を持てる環境を作る

HSCは、色々なことをひといちばい敏感に感じ取っているため、ひとより不安を感じやすい傾向にあります。
保育園や幼稚園、学校で不安なことや嫌なことが多いけれど頑張っている子が多いでしょう。
保育園や幼稚園、学校に行きたくないと言った際はまず理由を聞きましょう。

プールの時期は水遊びが嫌、運動会の時期は練習やピストルの音が嫌、発表会の時期はいつもと違うことをするのが嫌、などさまざまなストレスを抱えていることがあります。
その際に「そんなこと言わずに頑張りなさい」「そんな風に逃げないの」などという声かけは絶対にしてはいけません。
「どうしても嫌だったら先生に伝えていいんだよ」と、お子さんが安心できる環境を作りましょう。

先生とはあらかじめどうしてもダメだったら教室に戻ってもいい、などルールを決めておくと良いです。

その子自身のペースを大切にする

ひといちばい敏感なHSCは、周りの子が平気な事でも怖がったり、慎重だったりします。
その際に「大丈夫だから!」「周りの子はやってるよ」などと急かすのではなく、その子が自分から取り組むまで待ちましょう。
無理強いすると嫌な思い出にしかならず、パニックを起こす場合もあります。
しっかり安心感を持ってから取り組めるように周りは配慮することが大切です。

周りと比べない

ついつい子育てをしていると周りと比べてしまうことが多いですよね。
しかし子どもはひとりひとり全く違います。
HSCも同じで、周りの子よりも敏感で繊細な特徴を持ちます。
「みんなはできているのに」「なんでうちの子だけ……」と比べることはせず、その子自身の目指す姿を応援してあげましょう。

周りと競うのではなく、大切なのは毎日を楽しむことです。

まとめ

HSCはひといちばい敏感な性質を持つがゆえに、自己肯定感が下がりやすい傾向にあります
親や支援者はHSCが自己肯定感を高められるように、子どもを信じ、気持ちに共感し、課題に取り組むときはスモールステップで提供することが大切です。
また、ひといちばい敏感な子はひといちばい安心できる環境が必要となるため、安心感を持てる環境を作り、その子自身のペースを大切に周りと比べないようにしましょう。