自己効力感は、子どもの人格形成や学力などに影響を与えることで注目されています。しかし、
「自己効力感を高めると具体的にどう良い影響をもたらすのかがわからない」
「自己効力感を高めるにはどうしたら良いのか知りたい」
という親御さんや教育者の方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、子どもの自己効力感を高めるメリットや、自己効力感を高める方法について紹介します。
自己効力感とは?自分の能力を信じる気持ちのこと
自己効力感とは、「自分ならこの問題を解決できる」「自分ならやりきれる」などと、自分の力を信じる気持ちのことです。どんなときも「自分ならできる」という気持ちが根底にあるため、困難なことも前向きにチャレンジします。たとえ失敗しても、「いつか必ずできるようになる」と信じているので、行動し続けられるのです。
反対に、自己効力感が低いと「自分は何をやってもうまくいかない、失敗する」という思いが強くなります。「失敗=悪いこと」と思い込んでいるため、挑戦する前から諦めてしまうことが多いです。
このように、自己効力感があるかどうかで行動が大きく異なります。
子どもの自己効力感を高めるとどうなる?得られる3つのメリット
子どもの自己効力感を高めると、以下のようなメリットがあります。
1、チャレンジ精神が生まれる
自己効力感が高いと、チャレンジ精神が旺盛になります。できるできないに関わらず「まずはやってみよう」と思い、何事にも積極的に取り組めるのです。挑戦による不安や恐怖よりも楽しさのほうが勝るため、難易度の高いことにもどんどん挑戦します。親や教育者が意図せずとも、さまざまな分野の経験を増やせるでしょう。
2、打たれ強くなる
自己効力感が高い子どもは、打たれ強くなります。「自分ならやれば必ずできる」と信じているので、失敗しても諦めません。なぜ失敗したのか、次はどうすればいいのかを自分で考え、できるようになるまで努力し続けられます。
3、結果を出したり成長したりするのが早くなる
自己効力感が高い子どもは、失敗を恐れずにどんどん行動します。行動量が多ければ多いほど目標を達成したり、成長したりするのが早まるでしょう。一度結果を出せば「次もまた頑張ろう」と思えるため、さらに挑戦を重ね、どんどん成長していきます。
子どもの自己効力感を高めるには?おすすめの方法5つを紹介
ここからは、子どもの自己効力感を高めるおすすめの方法を5つご紹介します。今日から意識的に取り入れて、子どもの自己効力感を高めていきましょう。
1、成功体験を積み重ねていく
1つ目は、成功体験を積み重ねていくことです。小さなことでも成功体験を積み重ねていけば、「やればできるんだ」という感覚を身につけられます。最初のうちは、小さなことから挑戦するのが良いでしょう。例えば、「1日5分だけなわとびをする」「3問だけ算数の問題を解く」などです。達成できたら、頑張った子どもを褒めてあげてください。このように成功体験を積み重ねていけば、自己効力感が高まります。
ただし、簡単なことばかりを繰り返すのは良くありません。徐々に難易度を上げて、少しだけ頑張ればできることに挑戦するよう促していきましょう。また、親や教育者は子どもが自分でやり切れるよう、手助けはほどほどにしてください。自分で考え実践し、「できた!」を積み重ねていくことが大切です。
2、声かけをして子どもを励ます
2つ目は、声かけをして子どもを励ますことです。時には何かに挑戦してもうまくいかず、落ち込む場合もあるでしょう。そんなとき、「大丈夫、できるよ」という励ましがあると、子どもは「また頑張ってみよう」と思い、努力し続けられます。
また、「少しずつできるようになっているよ」と励ますのも効果的です。例えば逆上がりの練習をしている場合、「さっきよりもおなかが鉄棒に近づいているね、もう少しだよ」などと成長していることを教えてあげれば、これまでの頑張りがちゃんと成果につながっていることを感じられるでしょう。褒められたことも、成功体験として記憶に残ります。
ただし、できていないことをできているといったり、大げさな励ましをしたりするのは逆効果です。目の前の子どもの様子を見ながら、事実を伝えてあげましょう。
3、結果ではなくプロセスにフォーカスする
3つ目は、結果ではなくプロセスにフォーカスすることです。例えば「テストで100点をとったなんて賢いね」「二重跳びができるなんてすごいね」などは、結果や能力にフォーカスしている状態です。このような声をかけられると子どもは、「次も良い結果を出さなければ褒めてもらえない」と思い込んでしまいます。すると極度に失敗を恐れたり、自分ができる範囲のことにしか挑戦しなくなったりして、自己効力感が育たなくなるのです。
親や教育者は、結果を出すまでのプロセスを認めてあげましょう。諦めずに努力し続けたことや、難しいことに挑戦した姿などを褒めてあげると、「失敗しても大丈夫」「頑張ったことは決して無駄にならない」と思えます。その結果、自己効力感が高まり、「結果がどうであれ、まずやってみる」という姿勢が身につくでしょう。
4、成功した理由を一緒に考える
4つ目は、成功したらその理由を一緒に考えることです。何かがうまくいったら、子どもと一緒に「どうしてうまくいったんだろう?」と話し合ってみてください。うまくいった理由が分かれば、次は意図的に成功体験をつくれます。また、なぜ成功したのかを深掘りすると、うまくいった自分の姿に焦点があたります。すると気持ちが前向きになり、「また挑戦しよう、きっとうまくいく」と思いやすくなるのです。
反対に失敗した理由を考えると、自分のうまくいっていない姿や失敗にばかり目が向きます。その結果「もう挑戦するのはやめよう」「私は何をやってもダメだ」と思い込んでしまう可能性があるので、あまりおすすめできません。理由を考えるのは成功したときだけにすると良いでしょう。
5、お手本となる人を見つける
5つ目は、お手本となる人を見つけることです。自己効力感は、他者の成功する姿を見て「自分もできそう」と感じることでも高まります。有名人など遠い存在だと「自分もできそう」とは思いにくいため、友人や先生、家族など、身近な人をお手本にするのが良いでしょう。親や教育者が目の前で頑張る姿を見せるのも効果的です。
また、親や教育者の過去の話をするのもおすすめです。例えば、部活動に打ち込んでレギュラーをとった話、最初は勉強の成績が悪かったけれど、努力して入りたかった大学に合格した話など、なんでもOKです。身近な人の成功体験を聞くと、子どもは「頑張れば自分にもできる」と思い、自己効力感が高まりやすくなります。
まとめ
自己効力感とは、自分の能力を信じる気持ちのことです。「自分ならやればできる」と思っているため、失敗を恐れずに積極的に行動します。自己効力感が高まればチャレンジ精神が旺盛になったり、打たれ強くなったりするでしょう。また、行動量が多いぶん成長が早く、さまざまな分野で結果を出すのが早くなります。
子どもが大人になったとき自己効力感が育っていないと、失敗を恐れて行動できなかったり、何に取り組んでもすぐ挫折してしまったりする可能性が高いです。子どものうちから自己効力感を高めておくと、将来的にも困りにくくなります。今回は自己効力感を高める具体的な方法もご紹介したので、ぜひ実践してみてください。