IQ130以上であり、ある一定の能力に対し突出している特徴を持つギフテッド。
教育者として関わる中で、ギフテッドではない子と比べさまざまな特徴を持つため、どう関わっていいのか悩む人も多いのではないでしょうか。
この記事では教育者がギフテッドと関わる際に抱きやすい困りごとや、どう関わるのが大切なのか解説します。
ギフテッドと関わる際に困ること
ギフテッドと関わる際に教育者が困ることとして、以下の4つが挙げられます。
- 能力が高すぎて授業がつまらない
- 周りの子との関わりが難しい
- 知性や感情が人より大きく動く
- 発達のアンバランスさがある
それぞれについて解説します。
能力が高すぎて授業がつまらない
95%の子どもはIQ70~130に入ると言われています。
そのため、学校の授業もIQ70~130の子たちに合わせて作っていますよね。
しかしギフテッドの子たちはIQ130あり、学校の授業では簡単すぎてつまらないと感じることが多いです。
同じ教室内にいる場合、ギフテッドの子だけに別の課題を与えるのが難しい場合があります。
授業がつまらない状態が続くと、学校がつまらなくなり不登校になってしまう子も出てきます。
自分の能力より高すぎることを求められても人は苦痛に感じますが、簡単すぎることを延々と聞かされるのもまた苦痛なのです。
これに対し、どう対応していいのかわからない教育者は多いです。
周りも違いに気付いてくる
幼少期はそこまで周囲との違いに、周りの子どもが気づくことは少ないでしょう。
しかし小学校中学年くらいになってくると、自分のことだけではなく周りのことにも注意を向けられるようになってきます。
すると、ギフテッドの子が周りと違う行動をとったり、目立つ発言をしたりすると「あの子はなんか違う」と周りが気づいてくるのです。
学校生活では「人と違う」ことに対し、批判されたりからかわれたりすることが多いため、周りの子がギフテッドの子をからかったり批判したりする可能性が出てきます。
ギフテッドの子自身、周りから「ちょっと変わった子」と認識されることで、それが大きなストレスになることも…。
教育者自身、子どもたちにもどう伝えていけばいいか困ることが多いのではないでしょうか。
知性や感情が人より大きく動く
ギフテッドの子は、他の子と比べて非常に高い感受性を持ち、強い知的欲求を持っています。
そのため、他の子が受け流せることでも敏感に感じ取ることがしばしばあります。
お子さんによってさまざまですが、ギフテッドの子は以下のような特徴を持ちます。
- 新しいことに対して好奇心旺盛
- 五感が鋭いため、感覚刺激に対して敏感に反応する
- 想像力が豊かなため想像の世界に突入する
- 感情の起伏が激しくちょっとしたことで泣いたりする
このような特徴から、ギフテッドではなく発達障害だと誤診されることも。
発達障害と誤診されてしまった場合、教育者の子どもに対する対応も変わってくるため、ギフテッドの子にとってプラスになるとは言えません。
発達のアンバランスさがある
知的能力や言語能力、コミュニケーション能力などはその子自身の成長とともに一緒になって発達していくものです。
しかしギフテッドの子は知的能力や言語能力が年齢と比べ発達していても、社会性や精神面では年齢相応のことがあります。
また、ギフテッドの子は自分が突出した能力を持っていることに気付いていないことが多いです。
そのため、悪気なく周りの子に「なんでこんな簡単なこともわからないの?」と言ってしまいトラブルになることも…。
普段の発言内容が大人びている分、年齢相応のことを言うと逆に驚かれるなんてこともあります。
このアンバランスさが、周囲や教育者にとって「どう接していいかわからない」となる可能性があります。
ギフテッドに対する教育者の関わり方
では先ほど述べた困りごとに対し、教育者はどのように対応したらいいのでしょうか。
- 授業中個別課題を提供する
- 特別支援学級を検討する
- その子自身の個性を認める
- 質問されたら一緒に考える
それぞれについて解説します。
授業中個別課題を提供する
ギフテッドの子は、知的能力が非常に高いため普通の授業ではつまらなく、満足できないことが多いです。
そのため授業中個別課題を提供したり、教科書をどんどん先に学習していても怒らないことが重要です。
最近はタブレット学習が進んできているため、昔と比べ個別課題を準備するのもそこまで大変ではなくなっています。
個別課題の提供は決して特別扱いではなく、その子に合った教育をしているだけです。
「みんなと同じでなければいけない」という思考は捨てましょう。
それはギフテッドの子の能力をつぶし、不登校や学校拒否などを引き起こすだけです。
特別支援学級を検討する
クラス内で個別課題を提供するのが難しい場合、特別支援学級を検討しましょう。
特別支援学級は、IQが低くて授業についていけない子だけの場ではありません。
IQが高すぎる子もまた、クラス内での授業には苦痛を覚えています。
そのため、その子に合った課題が提供できるよう、少人数である特別支援学級を検討すると良いでしょう。
小学校1年生の子が3年生の勉強をしたって何も問題はありませんよね。
IQが低い3年生の子に1年生の勉強から始める場合があるのと同じように、ギフテッドの子にもIQや能力に合った課題を提供しましょう。
その子の才能を伸ばすためには、教育者の関わりが非常に重要です。
その子自身の個性を認める
ギフテッドに限らずすべての子どもに共通することですが、その子が持っている特徴や特性に対し決して否定してはいけません。
ギフテッドの子はアンバランスさがあり、教育者からすると「扱いにくい子」に見えることもあるかもしれません。
しかしアンバランスさにより、周囲から孤立したり大人からも扱いにくい子と思われると、ギフテッドの子はどんどん自信を無くします。
特に成人期、自分らしく生き生き過ごせるかどうかは学童期の周りの関わりが非常に重要です。
学童期に自分の個性や特徴を周りから認めてもらい、自分の能力を存分に発揮できた子は自己肯定感が高まります。
そして成長して成人期を迎えても、自分に合った環境を見つけ、仕事やプライベートで充実した日々を送ることができるのです。
質問されたら一緒に考える
ギフテッドの子は他の子が気にしないことでも気になり、教育者にたびたび質問することがあります。
「なぜ空は青いの?」「なぜ海はしょっぱいの?」など、明確に答えられないことを聞かれることもあるでしょう。
その際に適当に返事をしたり、教育者自身わからないからといってイライラしてはいけません。
ギフテッドの子は大人びて見える一方、精神的には年齢相応であり、教育者に助けを求めているのです。
質問された際は一緒に調べたり、考えたり、「今日調べて明日教えるね」と言い翌日に答えを伝えてもいいでしょう。
このように丁寧に関わることで、ギフテッドの子は教育者を信頼し、関係が構築されていきます。
まとめ
ギフテッドの子は周りと比べIQが高く知的好奇心が高い一方で、精神面や社会面は年齢相応というアンバランスさを持っています。
そのため、授業がつまらなくてストレスを抱えたり、周りから孤立したりすることもあります。
教育者はギフテッドの子の能力に合った課題を提供し、その子自身の個性を認め、信頼関係を築いていくことが大切です。