ギフテッドという言葉を聞いたことがありますか?
ギフテッドとは、知的に高く年齢よりも高いレベルの才能を見せる子のことを言います。
この記事では、そもそもギフテッドとは何なのか、特徴や種類について解説します。
また、ギフテッドと混合されやすい発達障害との違いについても解説しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
ギフテッドとは
ギフテッドとは何なのか
- ギフテッドの語源
- ギフテッドの定義
2点についてそれぞれ解説します。
ギフテッドの語源
ギフテッドは「贈り物をする」という意味の「ギフト」が語源だと言われています。
ギフテッドは生まれつき才能を授かった人のことを指します。
つまり、先天的に才能がある人のみがギフテッドであり、後天的にギフテッドになれるわけではありません。
幼少期に周りと比べて能力が高いことから、親や保育者が周りとの違いに気づき困り感を抱くことで気付くことが多いです。
ギフテッドの定義
ギフテッドと診断されるには以下に挙げる2つの特徴を持っている必要があります。
- IQが130以上であること
- 特定の分野における能力が突出していること
IQというのは、100を平均値として95%の人が70~130に入ると言われています。
よってIQ130以上であるギフテッドは、人口の約2%しかいないということです。
ギフテッドは、「知能」「創造性」「特定の学問」「芸術性」「運動能力」「リーダーシップ」の6つの領域において、能力が突出していることが特徴です。
ギフテッドの特徴
ギフテッドには具体的にどのような特徴があるのでしょうか。
ギフテッドの子どもが持つ特徴は以下の通りです。
- 言葉の習得が早く、よくしゃべったり、早口であることが多い
- 情報の処理能力が高く、自分の考えをすぐにまとめられる
- 年齢に対し語彙力が高く、複雑な文章を理解する力がある
- 練習しなくても基本となるスキルが獲得できる
- 未就学のうちに読み書きを取得する
- 集中力が高く、集中できる時間も長い
- 記憶力や理解力が年齢に比べ高い
- 精神年齢と身体の発達がアンバランスである
また、それぞれの成長段階による特徴を以下の3つにわけて解説します。
- 幼少期
- 学童期
- 成人期
幼少期
幼少期はまだIQを正確に測れるわけではないので、その子がギフテッドかどうか判断するのが難しいです。
周りの子と比べて並外れた集中力があり、絵本の内容を覚えたり、読み書きを教えてないのに独学で取得したりと周りは驚かされることが多いです。
また、感情のふり幅が大きいのですが、まだ幼少期に自分の感情コントロールは出来ません。
そのため、かんしゃくがひどかったり落ち着きがなかったりして、親が「周りの子と何かが違う…。」と悩み始める時期でもあります。
学童期
学童期は、ギフテッドの周囲の人だけではなく、本人の困り感も強く出てくる時期になります。
学校生活は集団生活を強いられることが多く、どうしても周りの子との違いに本人も周りも気付き始めるからです。
友達との会話に興味がなく楽しくなかったり、学校の授業が簡単すぎてつまらないと感じる子もいます。
そもそも学校の授業はIQ70~130の子に合うように作られています。
そこから外れるギフテッドの子は、授業中教室にいるのが苦痛となり、特別支援学級へ行き自分のペースで勉強したり、不登校になったりする子もいます。
この時期、親や支援者はその子自身の個性を認め理解し、思いを尊重することが大切です。
成人期
学童期に周りがどう関わったかによって、成人期にギフテッドの子がどう成長していくか大きく変わります。
学童期にその子の特徴を個性と捉え尊重してきた子は自分に自信を持ち、自分の得意な領域の中でやりたいことを見つけ生き生きと生活している可能性が高いです。
しかし学童期に周りのみんなと違うことを責められ自己肯定感が下がっている子が成人期になったとき、引きこもりがちになったり全ての物事にやる気がなくなってしまう場合もあります。
ギフテッドの特性を持つ子が大人になっても、周囲に合わせることが難しい、自分の興味のない分野では仕事をするのが難しいなどの特徴は消えません。
成人期にその人らしい生活ができるよう、親や支援者は学童期の関わりに気を付ける必要があります。
ギフテッドの種類
ギフテッドは子どもによってさまざまな特性があるため、きっちりと定義することは難しいです。
しかしギフテッドは大きく分けると以下の2種類があります。
- 英才型
- 2E型
それぞれについて解説します。
英才型
英才型と言われるギフテッドは、ある特定の分野の能力が高いというよりは、全体的な能力が高い特徴を持ちます。
記憶力がよく理解力が高いだけではなく、論理的思考も備わっています。
そのため国語、数学、英語、理科、社会など知的能力に関する科目だけではなく、体育、美術などその他のすべての科目においても成績優秀です。
周りから見ると「何でもできる頭のいい子」という印象であり、才能を発揮しやすい環境にあります。
2E型
2Eは、「twice-exceptional」であり、二重の特別支援を要すといった意味を持ちます。
2E型のギフテッドは、ギフテッドの特徴だけではなく発達障害の特徴も併せ持っている状態です。
英才型と違い、特定の分野においては素晴らしい能力を発揮しますが、その他の分野で非常に苦手な特徴を見せることもあります。
具体的には、数学は得意でも、論理的思考や主人公の気持ちを読み取る必要がある国語は苦手など得意不得意に凸凹がある状態です。
この場合、ある特定の分野は非常に得意でも、どうしても苦手な分野が目立ってしまいます。
そのため、才能のある分野に気付かれることが少なく、発達障害の支援が必要な子として育つ場合が多いです。
親や支援者だけではなく、自分自身がギフテッドであると気付かない場合もあります。
ギフテッドと発達障害の違い
ギフテッドとよく混合されがちなのが発達障害です。
ギフテッドと発達障害はたしかに共通点が多いですが、異なる部分もたくさんあります。
周りがギフテッドに対する理解がない場合、発達障害の特性が目立つため、ギフテッドとは診断されず発達障害と診断されることが多くなります。
診断が違えば支援方法も違ってくるため、本人に適した環境を提供できないことから困り感が無くならない、周りの理解度は上がらない、という状態になり生活のしづらさを抱きながら暮らしていくことになります。
また先ほど述べた2E型のようにギフテッドの特徴と発達障害の特徴を併せ持つ場合もあります。
ギフテッドと発達障害の共通点は以下の3つです。
- 自分の興味のある分野において非常に高い集中力を発揮する
- 他の人が「まぁいっか」と済ませられることでも気になり、解決しないと気が済まない
- 論理的思考を持っているため、物事について深い部分まで考える
ギフテッドと発達障害の違いについても紹介します。
ギフテッドが得意で発達障害が苦手なのは他人の感情を読み取ること、リーダーシップを発揮すること、運動です。
逆にギフテッドが苦手で発達障害が得意なのはルーティン化されたことです。
しかしこのような特徴は個人差が大きく、明確にギフテッドか発達障害かわかりにくい場合が多いです。
大切なのはその子がギフテッドであっても発達障害であっても、その子自身の特性や個性を認め、周りが適切な支援をしていくことです。
まとめ
ギフテッドは贈り物をする「ギフト」が語源であり、後天的ではなく先天的に非常に高い能力を持つ子のことを言います。
定義としてIQ130以上であり特定の分野において突出した能力を持っています。
ギフテッドが成人したときに自分らしい人生を歩むには、学童期における周りの関わり方や支援、環境が大切になります。
ギフテッドと発達障害は混合されがちですが、大切なのはその子自身を認めることです。
親や支援者はその子の個性や特性をよく理解し、適切な環境や関わりを提供することが大切です。