アクティブラーニングの教育現場におけるデメリット!これからの教育の課題について解説

文字パズル

今までのような教育者が教える形の授業ではなく、学修者が主体的に学ぶ教育方法であるアクティブラーニング。
子どもの思考力、論理性、積極性などが育ち、メリットが多いと言われているアクティブラーニングですが、教育現場においてどのようなことがデメリットになるか気になりますよね。
今回はアクティブラーニングの教育現場におけるデメリットやこれからの教育の課題について解説します。

アクティブラーニングの教育現場におけるデメリット

授業風景

アクティブラーニングの教育現場におけるデメリットは以下の8つあります。

  • 教育者の事前準備が必要
  • 学生のモチベーションによる
  • 学生の能力やスキルによって成功するかどうかが決まる
  • 統一されていない教材や指導方法による不均衡な学習が生じる
  • 学習効果が測定しづらい
  • 学生によって差が広がる
  • 学生が自主学習しない可能性がある
  • 現在の受験に適していない

それぞれについて解説します。

教育者の事前準備が必要

アクティブラーニングを実施するには、教育者が活動を計画し、教材を用意し、学生が参加しやすいように教室を準備する必要があります。
教育者が自分で授業する従来の方法とは異なり、学生が自分自身で学びやすいような環境設定や教材が必要となります。
そのため、従来よりもより綿密な事前準備が求められます。
一見アクティブラーニングは教育者の負担が減りそうに見えますが、全くそんなことはなく、教育者にも高い能力が求められます。

学生のモチベーションによる

アクティブラーニングでは、学生は主体的に学習を行い、自分で問題を解決する必要があります。
そのため、学生のモチベーションが低い場合は上手く機能しない可能性があります。
従来の受け身の姿勢がしみついてしまっている場合、学びに繋がらず、受け身の授業のときより理解度が落ちる可能性が考えられます。

学生の能力やスキルによって成功するかどうかが決まる

アクティブラーニングでは、学生が主体的に学習を行うため、能力やスキルによって成功するかどうかが異なる場合があります。
積極的に自分の意見を発言したり、ディスカッションに参加出来る学生が大勢いればアクティブラーニングは成功と言えます。
一方で受け身の学生が多く、グループディスカッションが全く進まない場合も考えられます。
このように学生の能力やスキルによって授業の充実度や成功が左右されるのは大きなデメリットと言えます。

統一されていない教材や指導方法による不均衡な学習が生じる

アクティブラーニングでは、教育者が自分で教材や指導方法を用意するため、まだまだ方法が統一されていません。
そのため、教育者によって学習の不均衡が生じることがあります。
まずはどのようにアクティブラーニングを進めていくのがいいのか、どのような教材を使いどのような指導をすればいいのか、教育者自身が学ぶ必要があります。

学習効果が測定しづらい

アクティブラーニングでは、学生が主体的に学習を行うため、学習効果を測定することが困難です。
従来の学習形態であれば、テストで点数化されることで授業の理解度をはかることができました。
一方アクティブラーニングは正解のある問題について解答を教えるというよりは、学生自身が考え、話し合い、自分の意見を出すという授業形態が多いです。
そのため、従来の授業とは違い、学習効果を数値化することはできません。
よって学習効果が測定しづらいと言えます。

学生間の差が広がる

アクティブラーニングでは、学生が主体的に学習を行うため、能力やスキルによって成功するかどうかが異なる場合があります。
そのために学生間の差が広がります。
やる気があり、自分の意見を周りに発信できたり、ディベートやディスカッションを積極的にできる学生はアクティブラーニングにおいてどんどん伸びるでしょう。
一方で引っ込み思案で人の意見に従うタイプで自ら発信しないタイプの学生にとってはアクティブラーニングが学びの場にならない可能性があります。

学生が自己学習をしない場合がある

アクティブラーニングはあくまで学生を主体とした授業形態です。
そのため、授業に対してそもそもやる気がない学生にとってはサボるための格好の機会といえます。
全員が全員アクティブに授業に参加できるわけではなく、自己学習をしない学生が中にはいると考えられます。

現在の受験に適していない

現在の受験は教育者から授業で教えられた解答のある問題に対し、正解か不正解かで点数を決め、それにより志望校に合格か不合格か決めるという形です。
アクティブラーニングのように学生の積極性や論理性などが合格基準となることはありません。
今後受験形態が変わってくればアクティブラーニングがもっと普及されるかもしれませんが、現在のようなテスト形式の受験方法ではアクティブラーニングは適していないと言えます。

これからの教育現場の課題

誰もいない教室

アクティブラーニングを取り入れることを考えた時、これからの教育現場の課題として以下の3つが考えられます。

  • 教育者により高いレベルが求められる
  • アクティブラーニングについての知識が必要となる
  • 受験形態について見直す必要がある

それぞれについて解説します。

教育者により高いレベルが求められる

アクティブラーニングは学生に自主的に学んでもらう必要があります。
しかし今まで受動的に授業を受けていた学生にとって、いきなり自主的に学ぶのは難しいです。
そのため、教育者は学生が自主的に学べるような環境を整えたり、授業の準備をする必要があります。
従来の授業なら教育者が教えやすいように授業を組めば通用していたかもしれませんが、アクティブラーニングではそのやり方は通用しません。
つまり今まで以上に教育者には高いレベルが求められるようになります。

アクティブラーニングについての知識が必要となる

教育者がアクティブラーニングを取り入れるには、まずアクティブラーニングとは何か?を徹底的に学ぶ必要があります。
自分が知らないことは他人に教えられないからです。
そのため、アクティブラーニングを取り入れるために積極的にアクティブラーニングについて学んだり、アクティブラーニングについて調べたりする必要があります。
また、調べるだけではなく実践してやり方をどんどん改善していく必要があります。
調べる、やってみる、改善する、調べる…をひたすら繰り返し、教育者自身がアクティブラーニングをものにしていくことが大切です。

受験形態について見直す必要がある

いくらアクティブラーニングがいい授業形態であったとしても、将来に結びつかなければ意味がありません。
しかし現在の受験形態は、従来の受動的な授業により解答が点数化され、点数が高い人が志望校に入れるというシステムになっています。
アクティブラーニングを積極的に取り入れるにあたり、受験形態も見直しが必要となるでしょう。
今後は自分の意見を書くという記述課題や、グループディベートの様子を受験科目にいれる必要があるかもしれません。
この点は教育現場における大きな課題になってくることでしょう。

まとめ

帽子を投げる学生

アクティブラーニングを取り入れるには、メリットも多いですがデメリットも多くあります。
教育者は従来の授業よりもより綿密な計画や準備が必要となり、アクティブラーニングの効果も生徒のレベルややる気に左右されます。
また、場合によっては学生間の差が広がってしまうことも。
これらのデメリットを踏まえた上で、教育者はアクティブラーニングを取り入れる必要があります。