子どものやる気を引き出す言葉とは?子どもの個性を育てる「声がけ」のヒント 

子育てで大切なのが、子どもとのコミュニケーションのあり方です。交わす言葉、声かけの仕方ひとつで、子どもに自信を与えることもあれば、やる気を奪ってしまうこともあります。

この記事では子どもの個性を育てるために、どのような言葉を選び、どのような声がけをするべきかについて、考えてみたいと思います。

子どもに声がけする際に大切なこと

まずは子どもに言葉をかける際に押さえておきたい心がまえを解説します。

親が子どもと話す際、この心持ちを大切にするだけで、普段のささいなやり取りが、子どもに自信を与えるものとなるでしょう

会話をすること自体に意味がある

「どんな言葉をかけてあげるべきか」「どんな態度で子どもに接するべきか」などを難しく考える前に、子どもと会話をすること自体に意味があるという点を覚えておきましょう。

なぜなら会話は、「相手の存在を認めてあげること」だからです。子どもの話を真剣に聞く、それに共感し、親も子どもに意見を言う。そのやり取りだけで子どもは「自分はひとりの人として認められているんだ」という安心感を抱きます。

この安心感は、自己肯定感と言い換えても良いでしょう。子どもが自身の個性を発揮し、やる気を持って物事に取り組むためには、自己肯定感が欠かせません。

子どもを言葉でコントロールしようとしない

子育てをしていると、子どもをしつけることが親の役割だという思いが強くなってしまうことがあります。当然、ときには子どもの行為や言動、考え方などに注意を促さなければいけない場面もあるでしょう。

しかし覚えておくべきなのは、子どもを言葉でコントロールしようとしないということです。語気を荒げて子どもを怖がらせることはもちろん、「○○ができないとダメだ」といった声がけは、子どもからやる気を奪います。

そうなると子どもは、常に親から認められること、親の良しとする基準を満たすことばかりを考えるようになります。失敗を恐れ、興味があることでも親の顔色をうかがい、チャレンジしようとしなくなります。それでは子どもが未来を生き抜くための、自主性が育ちません。

子どもに自信を与える声がけを

子どもに自信を与えるために褒めることは重要です。しかしその褒め方も、子どもの自主性を伸ばすような、自信を与える声がけを心がけると良いでしょう。

「○○ができてえらいね・すごいね」という「結果」を褒めることも大切ですが、「○○ちゃんのおかげで助かったよ」「○○くんに元気もらえたよ」のように、子どもの思いや行動が、周囲のためになったという褒め方は、子どもに自信を抱かせます。

子どもの話を「聞く」ことも大切

子どもとのコミュニケーションでは、良い声がけをすることだけでなく、子どもの話を聞くことも重要です。

たしかに子どもの話のなかには、「子どもっぽいな」「考えが未熟だな」と思うこともあるでしょう。「この考えは教育上よくないな」「この考えは間違っている」と感じることもあるかもしれません。

しかしそれを「親は子どもをしつける立場だから」という考えで、途中で遮ったり、頭ごなしに否定したりすると、子どもは大きなショックを受けます。自分は認めてもらえていないと感じる可能性もあります。

まずは「○○ちゃんはそんな風に感じたんだね」「そんな考えが浮かんだんだね」と子どもの意見や思いを受け止めて、そのうえで正すべきことがあれば、より良い方法や考え方などを提案するのが良いでしょう。

子どものやる気を引き出す声がけのヒント

子どもの個性を育むには、子どもがやる気を感じるような声がけをすることが大切です。ここでは、子どものやる気を引き出す具体的な声がけのヒントを紹介します。

子どもを褒めたり、やる気を育てたりするために、必ずしも結果や成果は必要ありません。普段の何気ない会話から、子どもの自主性を引き出し、個性を伸ばすことができるのです。

あいさつや「ありがとう」を忘れない

「おはよう」「いってらっしゃい」「おかえり」「おやすみなさい」など、日常のなかで交わされるあいさつも、子どもとのコミュニケーションではとても大切です。あいさつは自分が相手を認めていることを示します。どんなときでも、挨拶だけは欠かさないことで、子どもは自分が無条件で認められていることを実感します。

「ありがとう」という声がけも忘れないようにしましょう。頼みごとをして何かを手伝ってくれたときなどはもちろん、子どもが自主的に親のために動いてくれたときなどは、「ありがとう」を言う大チャンス。目を見て微笑みながらお礼を言えば、子どもにとってはなにより大きな自信になるはずです。

たとえ子どもがやったことが「意味のない」ことでも、あるいは何かを試みて失敗したとしても、その思いに「ありがとう」を言うことは可能。結果や成果は、さほど重要ではありません。

過程を認めてあげることが重要

褒めることは子どものやる気を育てるうえでとても重要です。実際、子どもがやる気や自信を感じるときとして、「親に褒められたとき」という回答が非常に多く聞かれます。

だからこそ親は、褒め方についてもこだわりたいものです。ポイントは、結果や成果ばかりを褒めるのではなく、過程を認めること。

子どもが何かを成し遂げたときや、なにかを完成させたときは「褒めやすい」タイミングに思えるでしょう。逆に挫折してしまったり、不本意な結果に終わったりしたときなどは、あまり褒める状況には思えません。

しかしそのようなときも、「過程」を「認める」ことはできます。(失敗したとしても)「頑張ろうとしたのはすごいね!」(悪いことをしても)「反省できて、もっと良くしようと思えるのはすごい!」。そのうえで、改善策やより良いあり方を提案すれば、子どもは前向きな思いを失わずに物事に取り組めます。

禁止するのではなく行動を促す

子どもの何らかの行動を禁止したり、やってはいけないことを教えたりする場面でも、子どもの行動を促すような声がけが役に立ちます。

「○○をやっちゃダメ」ではなく、「こういう風にするとうまくいくよ」と言ってみたり、約束ごとを守れなかったときに「約束を守ろうとした気持ちは認めるから、次は○○に気を付けてみようよ」と声がけすれば、子どもは前向きな気持ちを失いにくくなるはずです。

子どもささいな興味を共感し尊重する

子どものやる気を引き出し、個性を育てるには、子どもの興味を認め、応援してあげることが重要です。人生経験豊富な大人の立場からすると、「これは将来役に立たないな」とか「これはチャレンジしても絶対失敗するな」と思うこともあるでしょう。

しかし「それはダメ」「それは無理」「こっちをやりなさい」と子どもの興味を否定していると、子どもは何かに自主的に取り組むこと自体を恐れるようになります。

たしかに子どもの興味関心事が、何らかの成功につながったり、華々しい成果を生んだりするとは限りません。しかし、興味のあることに全力で挑んだ、知識を深めようとしたという「意志」「行動」が大きな学びとなり、新たなチャレンジを生みます。結果的に成功を生むのは、このような行動の積み重ねです。

子どもの思いを励ます声がけが、子どものやる気と個性を育む

この記事では、子どものやる気を引き出す言葉や、声がけのポイントについて解説しました。子どもの成長を促すためにまず大切なのは、子どもが「自分は無条件で認められている」という自己肯定感を抱くことです。

日々のあいさつを欠かさないことや、話をしっかり聞いてあげることなど、ふだんのコミュニケーションに工夫を加えるだけでも、子どもの自己肯定感を育むことにつながります。

また、子どもを褒めたり、認めてあげたりするときは、子どもの思いを励ますことが大切。結果や成果ばかりを褒めるのではなく、過程や意志など、子どもの自主性を尊重することが大切です。

子どもがやる気や自主性を持って個性を発揮すれば、未来はきっと輝かしいものになります。親はそれを応援し、励ましてあげる立場でありたいものです。