子どもの共感力を養うには?思いやりの心を育むために親が心がけるべきこと

子どもの個性を伸ばすことが、子育てにおいて重要視されています。個性を大切にすることは、子どもの自己肯定感を高め、物事へ自主的に取り組む姿勢を育てます。

しかし個性を伸ばすということは、けっして排他的になることではありません。親は子どもの個性を引き出すのと同時に、他人を思いやる「共感力」も育てる必要があります。

この記事では、子どもの共感力を育てることの大切さや、子どもの思いやりの心を育むために、親が注意すべきことなどについて考えてみたいと思います。

共感力はなぜ大切か

そもそも子どもの共感力を育てることは、なぜ大切なのでしょうか。

ここでは、子どもが共感力を高めることで得られることや、子どもに与える良い影響について考えます。

周囲と調和しながら良い人間関係を築けるようになる

子どもが個性を発揮して活躍するためには、他人との調和を大切にし、良い人間関係を築く必要があります

自分の希望ばかりを主張し、他者の思いや考えを理解できないでいると、周囲と良い関係が保てず、結果的に本人も個性を存分に発揮できない状況を招きます。

周囲との調和を大切にすることは、けっして個性の発揮を妨げるものではありません。むしろ共感力を育て、他人の気持ちを思いやる気持ちがあることで、自分自身も尊重され、個性を発揮しやすくなるでしょう。

他人のために行動できるようになる

人は他人との助け合いのなかで生きています。自分が誰かに助けられることもあれば、誰かを助けなければいけない場面もあるでしょう。共感力を養うということは、他人の気持ちを思いやり、他人のために行動できる能力を育てるということです。

共感力がない子どもは、他人との関係の中で、いつも「自分のこと」ばかりを主張します。自分の希望が通らないことへの不満や、自分の被害ばかりを訴えるでしょう。しかし当然、相手にも相手なりの考えや希望があります。共感力のない子どもは、それを理解することが苦手です。

共感力を育てた子どもは、たとえ自分の気持ちと相手の気持ちが違ったときでも、相手のことを理解しようとするでしょう。そのような姿勢は、大人になってからも欠かせない考え方です。

親は子どもの発達の段階を理解し、幼いうちから他人を思いやることの大切さを、教えてあげたいものです。

子どもの共感力はいつから育まれるか

生まれたばかりの赤ちゃんは、自分と他人の区別がつきません。やがて成長の過程で、だんだんと自分と他人は、違う人間であることを理解していきます。子どもの共感力を育てるには、親が子どもの発達の段階について把握しておく必要があるでしょう。

ここでは、子どもの共感力がいつごろから育まれるかについて解説します。

2歳頃から自分と他人が区別できるようになる

およそ2歳頃から、子どもは自分と他人の区別ができるようになると言われています。自分の気持ちと、他人が抱えている気持ちは同じとは限らない。自分がうれしいことも、他人はうれしく思わないかもしれないと、理解し始めます。

はじめは他人を気遣うようなことはできなくても、だんだんと他人との関わり方を覚えていくようになります。子どものそばにいる親はその発達を観察し、子どもへの適切なはたらきかけ方を考えると良いでしょう。

4歳頃から他人の気持ちを想像できるようになる

3歳頃から自立心が芽生え、4歳頃になると、子どもも他人の気持ちを考えられるようになります。この頃から友だちとおもちゃの取り合いなどで、けんかすることなども増えていきます。

「自分が遊びたいおもちゃを、友だちも使いたいと思っている」「友だちのことは好きだけど、僕もおもちゃで遊びたい」このような複雑な思いも、4歳頃から抱きはじめることが多いようです。しかしなかには、自分の気持ちも他人の気持ちもうまく扱えず、泣き出してしまう子もいるでしょう。

親は子どもの様子を見守りながら、まずは「人はいろんな感情を抱く」ということを、丁寧に教えてあげると良いでしょう。そうすることで子どもも、自分、そして他人の感情への向き合い方を学んでいきます。

子どもの共感力を育てるために親が心がけるべきこと

「自分と他人は異なる気持ちを抱えている」と理解し始めた子どもに、親はどのようなはたらきかけ方をすれば良いのでしょうか。

ここでは、子どもの共感力を育むために、親が心がけるべきことについて考えてみたいと思います。

子どもの感情に共感する

他人の気持ちを思いやる前に、まずは子どもが自分自身の感情について理解する必要があります。

「うれしい」「嫌だ」といった気持ちだけでなく、「悲しい」「さびしい」「悔しい」など、子どももさまざま思いを日々感じています。ときには「友だちに悪いことをしてしまった」といった罪悪感など、複雑な感情を抱くこともあるでしょう。

そのような感情に親が共感してあげることで、子どもはだんだんと自分自身の複雑な思いを整理できるようになります。「つらかったね」「悲しかったね」「あの子に悪いことをしたね」など、子どもの気持ちに寄り添った声がけをすることで、子どもも「自分はこんな気持ちを抱いているんだ」と、理解できるようになるでしょう。

そのうちに「自分が悲しい気持ちを感じているということは、友だちも同じように感じているかもしれない」と、他人の気持ちも思いやれるようになるはずです。

まずは親が子どもに寄り添い、さまざまな感情を共感してあげることが大切です。

他人を思いやることの大切さを伝える

他人との関わりの中で、子どもは多くの複雑な感情を抱きます。友だちとのおもちゃの取り合いに「勝った」とき、おもちゃで遊べる楽しさよりも、泣いてしまった友だちのことが気になるかもしれません。

そんなときに親が「どんな気持ちを感じた?」「友だちはどんな風に思ったかな?」など問いかければ、子どもへ自分や他人の気持ちについて、考えるきっかけを与えられます。

そのようなコミュニケーションを経て子どもも、「自分と他人は必ずしも同じ気持ちとは限らない」「自分はうれしくても他人は悲しいかもしれない」「自分ばかりがうれしいだけじゃだめなんだ」「ふたりともうれしい気持ちになる方法はないかな」など、他人を思いやる気持ちが育っていきます。

親が共感のお手本を示す

親のはたらきかけ方が、子どもが共感力を育てる際のお手本になることも多いです。子どもが落ち込んでいるときに、おもいやりのある言葉をかけ、「共感する姿のお手本」を子どもへ見せてあげましょう。

あるいは両親がお互いに思いやりを持って接している姿を見せることも、子どもにとっては勉強になるはずです。このような親の振る舞いを真似て、子どもも他人に思いやりのある行動をとれるようになります。

子どもはいつも親の行動を見ています。親が率先して思いやりある行動のお手本を示すことで、子どもも他人の気持ちを考える姿勢を身に付けていけるでしょう。

子どもの個性を伸ばすには、他人への共感力が欠かせない

この記事では、子どもの共感力を育てることの大切さや、親の子どもへの適切なはたらきかけ方などについて解説しました。

子どもが個性を発揮して活躍していくには、他人と調和することの大切さも理解する必要があります。思いやりの気持ちを育て、共感力を養うことで、周囲と調和のとれた関係を築けるようになります。

親は子どもの気持ちに寄り添い、子どもの思いやりの心が育つようなはたらきかけ方を心がけましょう。そうすることで子どもの豊かな共感力が育ち、ますます個性を発揮できるようになるはずです。