療育にはどんなメリットがある?療育を仕事とするときのやるべきことを解説

発達障害の子が受ける療育には、親と子どもにとってどのようなメリットがあるのでしょうか?
また、療育を仕事にする人は何に注意したらいいのか、療育に関わることで今後どのような可能性があるのか気になりますよね。
この記事を読むと療育における親と子のメリット、療育を仕事にする際の注意点や今後の可能性、療育をする前に学ぶべきことややるべきことがわかります。

療育のメリット

療育を受けると、さまざまなメリットが得られます。
親のメリットと子のメリットについてそれぞれ解説します。

親のメリット

子育てはただでさえ日々悩みがつきませんよね。
子育ての悩みは、正常発達であろうと発達障害を持っていようと変わらずのしかかってきます。
さらに発達障害の子を育てるには、普通よりも少し工夫が必要で、専門知識がないと上手くいかないことが多いです。

療育において親は、まず発達障害の特性を理解することから始まります。
日々の子育てにおいて、「何をやっても上手くいかない」「なぜこんな行動をするんだろう?」と悩んでいたことが、発達障害の特性を理解することで、少しわかるようになるかもしれません。

子どもの行動には必ず理由があります
例えば、少しでも水にぬれたり泥で汚れたりすると、周りと比べて異常に嫌がるというお子さんは濡れた時の感覚が他の子よりも気持ち悪く感じやすいという感覚の受け取り方に特徴があるかもしれません。

このような発達障害の特性を知っておくことで、「別にわがままを言っているわけじゃない」と自分の子を理解することができます。
また、理解できるということは正しい支援や対処方法をとれることに繋がります。
先ほどの水にぬれたり泥で汚れたりするのを異常に嫌がるお子さんには、すぐ着替えて不快な刺激を取り除いてあげるなどの対処ができます。

つまり、親は療育を受けることで

  • 自分の子の行動や日々の困っていることの理解が深まる
  • 子どもが困っているときに適切に対処してあげられる

というメリットがあります。

子のメリット

子のメリットとしては、今まで困っていたことを理解してくれる人が増える点にあります。
支援者は、発達障害を持つお子さんの特性を理解し、周りの支援者にアドバイスする役割を持ちます。
幼少期は子にとって療育の場は楽しく遊ぶ場というイメージが強いでしょう。
もちろん、楽しく遊べる場所が増えるのは幼少期のお子さんにとって大きなメリットです。

学童期以降は友達関係や学習面で困った際に療育は相談できる場となります。
そのため、子どもは療育を受けることで

  • 自分を理解してくれる支援者が増える
  • 困ったときにいつでも相談できる


というメリットがあります。

療育の注意点や可能性

療育をするうえで注意することや、療育を仕事にする人の可能性について紹介します。

注意点

療育をしていると、親の対応を見ていて気になったり、つい注意したくなる場面があります。
しかし、親は毎日子どもと接し頑張っています。
日々いっぱいいっぱいなのに、療育のスタッフに注意をされたら悲しくなったり否定されたと思ったりします。

まずは日々の頑張りを認め、そのうえで「こんな声かけの仕方や、方法もある」という伝え方をしましょう。
また、全ての親や子に同じ対応をしても上手くいきません。
親や子のタイプを見て、それぞれに合った対応をしたり、声掛けの仕方を工夫したりする必要があります。
ストレートに言った方が伝わる親にはストレートに、優しくオブラートに包んだ方が良い繊細な親には優しく、など人によって使い分けましょう。

可能性

療育は発達障害の特性を持つ子だけではなく、全てのお子さんにとってわかりやすい支援です。
また、療育で使う生活における方法や工夫は、子どもだけではなく大人になってからも、日常で使えます。
そのため、療育の仕事は日常生活を送るうえでも、例え他の職に今後ついたとしても生かせます。

また、療育スタッフ自身に子どもが生まれた際も、療育のときに学んだことを生かして関わると日常がうまく回ります。
知っていて無駄な知識は一つもないため、日常生活も上手くいき、今後の人生の可能性が広がります。

療育を仕事にする人がすべきこと

療育を仕事にする人はどのようなことをすべきなのでしょうか。

  • 療育を仕事にするためやるべきこと
  • 療育を始める前に学ぶべきこと


2つについて解説します。

療育を仕事にするためやるべきこと

療育は発達障害を持つお子さんと関わる中で評価し、親の相談を聞き、今の状態からどんな支援がいいか方法を教える必要があります。
そのため、適切な評価が一番大切です。
評価ができないと、支援方法もずれてしまったり浮かばなかったりするからです。
また、正常発達を知らないと今目の前にいる子の姿が、幼稚園や保育園、学校のどんな場面で困りそうか、想像できません。

そのため、ある程度正常発達を知っておく必要があります
療育スタッフだからといって、発達障害の特性だけ知っていればいいわけではありません。
集団に入ったらどんなことに困りそうか想像できるようにしておきましょう。
また、学校現場はどんどん変化します。
療育スタッフの子どもの頃の状態と、今療育に通っているお子さんの学校の状態は異なります。

よって療育スタッフは常に情報をアップデートしていく必要があります。
幼稚園や保育園、学校の体制や授業体系、行事はどのように行われるのかなど情報収集は常にしておきましょう。
また、発達障害分野も日々変わっていきます。
積極的に講演会に行ったり、発達障害に関する本を読んだりと自己研鑽に励むことが大切です。

療育を始める前に学ぶべきこと

療育にくるのは発達障害を持つお子さんです。
そのため、療育スタッフが「そもそも発達障害ってなに?」「どんな特性があるの?」と疑問に思っていては話しになりません。
まず基礎的な「発達障害とはなにか」「発達障害を持つお子さんはどんな特性を持っているのか」を学んでおきましょう。

また、療育に来る親子は保育園や幼稚園、学校、もしくは家で何かしら困っていることが多いです。
療育スタッフは療育に来る人の困っていることに対しアドバイスをする役割も持ちます。
もちろんひとりひとりにあった支援や方法を考える必要がありますが、ある程度「こうしたら上手くいく」という案を知っておくことが大切です。

療育を始めたばかりだとしても、親や子にとってあなたは療育のプロです。
「始めたばかりなのでよくわかりません」などとは決して言ってはならないのです。
発達障害を持つ子に多い困りごとやトラブル、どうしたらいいかの方法は本などで学んでもいいですし、療育の先輩から話しを聞いてたくさん案を持っておくと良いです。

また、親に相談されたことがどうしてもその場で答えられなかった際は、「方法を考えて次回お伝えしますね。」と伝え、必ず次回までに支援方法を考えておきましょう。
真剣に向き合うことで、発達障害を持つお子さんや親との信頼関係を築くことができます。

まとめ

療育スタッフは、療育に通う親や子の支援者であり、理解者である必要があります。
療育を始める前にきちんと発達障害について学び、どんなことに困っているのか、どうしたら解決できそうかある程度の知識を持っておきましょう。
療育をする際には親や子のタイプに合わせ、声かけや支援方法を変えていく必要があります。

ひとりひとりに合った支援を行えるよう、親や子がどんなタイプなのか適切に評価しましょう。
療育で学ぶことは、療育スタッフ自身が日常生活に生かせることや、子を産んだあとにためになるものばかりです。
療育に通う親や子のために学ぶのはもちろん、自分の日々の生活のためにも療育について日々学ぶことが大切です。