近年、子育てにおいて、子どもの強みを引き出すことが重要視されています。
とはいえ、「強みを引き出す」ことにどのような効果があり、どのような心構えで子どもに接したら良いのか、はっきり認識できていない親も多いことと思います。
この記事では、なぜ子どもの強みを伸ばすことが大切なのか、そして親が子どもの強みを伸ばすためにどのような心構えでいたら良いのか、について解説します。
強みを育むことの大切さを理解することで、子どもへの接し方も深く考えられるようになるかもしれません。ぜひ最後までご覧ください。
子どもの強みを伸ばすと良い理由とは?
そもそも、なぜ子どもの強みを伸ばすことが重要視されているのでしょうか?
なんとなく「子どもの長所を伸ばしてあげたい」と考えている親は多いと思います。しかし、その意義や目的について深く考えたことのある親は多くないかもしれません。
まずは子どもの強みを伸ばすことの大切さについて見てみましょう。
強みを伸ばせば自己肯定感が育つ
子どもの強みを育てることは、子どもの自己肯定感を養うことにつながります。
子どもが素直な気持ちで「得意なこと」や「夢中になれること」に取り組めていれば、「自分はありのままの姿で認められているんだ」という安心感を抱けるようになるでしょう。
自己肯定感の醸成は、子どもが様々なチャレンジを行うベースとなるものです。子どもがのびのびと育っていくためにも、強みを大事にし、子どもの自己肯定感を育むことは何より大切です。
自分の強みを知ることで自主性が身につく
子どもが自分の強みに気付くと、「得意とすること」や「興味のある分野」を深めていこうという自主性が生まれます。
また、強みを自覚していれば、何かに取り組むという行為自体に自信が芽生え、大人から「これをやらなければいけない」と強制されなくとも、自分の「夢中になれること」を深めていけるようになるでしょう。
子どもの強みを伸ばすことは、物事に取り組む姿勢にも良い刺激を与えるのです。
子どもの自主性が「生きる力」を育む
子どもが物事へ取り組む際の自主性は、今日の教育において非常に重要視されています。
ITの進化や価値感の多様化によって、今を生きる子どもたちの未来は、予想が困難なものとなっています。これまでの生き方や、人生観、職業観や社会構造などが変化を遂げる中で、子どもたちは自ら生き方を見つけていかなくてはいけません。
そのような状況下では、子どもたちは自主的に学び、行動し、未来を自らの手で掴み取っていく必要があります。
そのような積極的な姿勢を養うためにも、自分の強みを理解することは、非常に重要と言えるでしょう。
周囲と調和の取れた関係を築ける
人が生きるうえで自らの強みを発揮することは、周囲と調和の取れた関係を築くうえでも重要です。
子どもの強みを伸ばすということは、子どもに好き放題やらせることではありません。それではわがままな態度を助長するばかりで、かえって生きづらさを招くことになるでしょう。
そうではなく、自分の強みを周囲の人々のために役立てていく、社会に貢献するために発揮していくという姿勢を持つことで、結果的に本人も誇りを持って生きていけるようになります。
強みを伸ばすことで自己肯定感が育ち、自己肯定感が育つことで周囲の人に自身の能力を活かし貢献したくなる。そして周囲と調和の取れた関係を望むようになる。
子どもの強みを活かすことは、そのような好循環を生み出していくのです。
親は子どもの強みをどのように捉えたら良いのか?
子どもが自分の強みを活かすことは、生きていく上で非常に重要なことです。
それでは子育てを行う親は、子どもの強みをどのように捉えたら良いのでしょうか。
今度は親の立場で、わが子の強みを伸ばすために必要なマインドについて見ていきたいと思います。
強みを育てることは後回しになりがち
これまでの日本の教育では、子どもの強みを育てることは、むしろ後回しになりがちな状況がありました。
「人並みにひと通りのことができないと、将来苦労するだろう…」「無益なことに夢中になっていても立派な大人になれないのでは…」そういった心配が生まれ、何かに夢中になる子どもを諫めてしまう親は多いでしょう。
もちろん場合によっては、その指導が子どもの誤った考え方を是正することもあります。とはいえ、そのような姿勢でばかり子どもに向かっていては、子どもは自信を無くし、親の言うことばかり聞くようになるかもしれません。それでは子どもの自主性は育ちません。
子どもの強みを伸ばすためには、親自身がそれを阻害する考え方になりがちなことを自覚しておく必要があるでしょう。
子どもの強みを伸ばすには環境が大切
子どもは一定の年齢になると、学校などの社会へ飛び出していきます。この社会の中にも、子どもの強みの育成を阻害する要因があります。
例えば学校のテストで良い点を取ることばかりが、価値基準となってしまうことがあります。もちろん勉強する過程で、興味のある分野を見つけたり、勉強に向かう姿勢に強みが表れることもあるでしょう。
ただしその場合も、周囲の大人に、「子どもの強みを大事にする」というマインドがない限り、子どもは自身の強みを認識することができないかもしれません。
子どもが強みを見つけ、自信を持ってその能力を伸ばしていくには、親をはじめとする大人がそれを重要視する環境が必要となるのです。
小さな強みを育てることが重要
子どもの強みは、周囲が気付いてあげないと本人も自覚できないことが多いです。
もちろん中には強烈な個性を発揮して、パワフルに自身の強みを伸ばしていける子どももいるかもしれません。しかし多くの子どもたちが、自分の本来の強みに気づけないでいます。
とはいえ目を凝らしてみると、誰もがその子にしかない強みを持っています。「気が付いたらやっていること」「教えられなくても身に付けていること」。そのような優れた部分に大人が気付き、それを時には褒め、尊重してあげる姿勢が、子どもに大きな自信を与えます。
一見すると見逃してしまいそうな個々の強みを、親は見つけ、大事に育んでいくと良いでしょう。
失敗も経験になる
親が覚えておかなければいけないのは、「失敗も成長のための大きな糧となる」ということです。
当然、子どもは成長の過程で失敗を経験します。それが例え好きなことであっても、挑戦をすれば失敗は避けて通れません。
失敗を経験すると子どもは辛い思いを味わうでしょう。そしてそんな目に合わせたくないために、親は子どもが失敗しないよう、先回りして道筋を是正してあげたくなるものです。
しかし失敗から学ぶことはたくさんあります。むしろ強みを伸ばすためには、失敗から多くを学ぶ必要があります。
親はその事実も理解し、強みの成長を阻害しないよう見守ったり励ましたりする態度が必要です。
子どもの強みを伸ばすことは幸せな人生に直結する
この記事では、子どもの強みを伸ばすことの大切さや、子どもの強みを育むために必要な親の向き合い方について考えてきました。
子どもの強みを伸ばすことは、結果的に「生きる力」を育むことにつながり、それは本人が幸せに生きられるきっかけとなります。
もちろん時には子どもに注意したくなったり、心配になったりすることもあるでしょう。しかし、大切なのは子どもに自信を与えること。親はその意識を忘れず、子どもの強みに向き合うことが大切です。