非認知能力を育てるために支援者が親や子どもにできることとは?今後の教育に必要なことを解説

認知能力のようにIQではかることの出来ない能力である、非認知能力。
非認知能力を育てるには就学前の時期が一番大切だと言われています。
この記事では、非認知能力を育てるために支援者が親や子どもに出来ることを紹介します。
また、今までの教育の問題点から今後の教育に必要なことを解説するので、ぜひ最後まで読んでみてください。

非認知能力を育てるために支援者ができること

非認知能力を育てるために支援者が出来ることは何があるのでしょうか。

  • 親にできること
  • 子どもにできること

それぞれについて解説します。

支援者が親にできること

子どもの非認知能力を育てるには、子どもに対する親の日々の関わり方がとても重要になります。
子どもの自己肯定感を伸ばすには、親の声掛けや親との関係により大きく変わってくるからです。
親に「認められた」経験が多い子は自信につながり、自己肯定感が持て、結果として非認知能力が育っていきます。

しかし中には、「子どもをどう褒めたらいいのかわからない」「いつも怒ってばかりいる」と悩んでいる親も大勢います。
そのため、支援者は親に子どもの自己肯定感が上がるような声かけや関わりを伝えていく必要があります。
例えば、いつも否定ばかりされている子どもは当然ながら自分に自信がどんどん無くなり、自己肯定感が育ちません。

特にADHDの特性を持つ子は、突発的に動いてしまったり、忘れ物が多かったりするため、どうしても怒られる機会が増えてしまいます。
それにより、「自分なんて」という自己否定に走ったり、自己肯定感が失われる子が多いです。
親は「褒めた方がいいと言われてもどの部分を褒めたらいいのかわからない。いつも怒らせるようなことばかりする」と感じているかもしれません。

その際、支援者はその子の今できている部分を見つけ、親の前で褒めましょう。
そして「こういう点を褒めると、子どもは認めてもらったという気持ちが持て自信になる」ということを親に伝えていくことが大切です。
お子さんを褒めるときは今できていることを褒めるだけで良いのです。
例えばじっとしていられない子は、少しの間椅子に座ったり待てたりしたら「今しっかり座っていてかっこいいね。」「待っていてくれてありがとう」と伝えるだけでも「認められて嬉しい」という気持ちになります。

また、親は日々一緒に暮らしているからこそ、子どもの小さな成長に気付きにくいことが多いです。
それに対し支援者は、毎日子どもと会うわけではないため、会うたびに子どもの成長を感じる場面が多いですよね。
子どもの成長を見つけた際はすかさず「前回と比べてできるようになりましたね。」できるようになったことや成長したことを親にフィードバックしましょう。

それにより、親も自分の子の成長に気付くことができ、子どもを褒め、結果的に自己肯定感が高まり非認知能力の向上につながります。
また、親の精神が安定することが子の精神の安定にも繋がります。
まずこの土台ができていないと非認知能力を育てるのは難しいです。
子育てを日々頑張っている親に対してねぎらい、しっかりと話しを聞きアドバイスできる点があればアドバイスをしましょう。

それにより親は「また今日から頑張ろう」という気持ちを持てます。

支援者が子どもにできること

支援者は子どもに何か課題を提示したり、新しいことにチャレンジする機会を提供する場面が多いですよね。
その際に、子どもが忍耐強く取り組むことのできる課題内容にし、子どもの「できた」が積み重なるようなレベルの課題を提示する必要があります。

お子さんごとに興味のある課題や取り組みやすい課題は異なります。
そのため、その子自身が興味を持って忍耐強く取り組むことのできる課題を提示する必要があります。
また、課題は簡単すぎても難しすぎてもやる気をなくします。
大切なのは「ちょっと頑張ったらできた」というレベルの課題を提示することです。

子どもは「ちょっと頑張ったらできた」という経験があると自信につながり、「次も頑張ってみよう。」という気持ちを持つことができます。
適切な課題を提供するためにも、お子さんと関わる限られた時間の中で適切に評価する必要があります。
また、どんな課題を提供すればいいのかわからない場合、療育に通っているお子さんであれば作業療法士や言語聴覚士に今どのくらいのレベルか聞くと、よりそのお子さんの理解を深めることができます。

非認知能力の1つであるコミュニケーション能力は人との関わりの中で伸びていきます。
お子さんと関わる時間は全てコミュニケーション能力を伸ばす絶好の機会です。
就学前のお子さんであれば「貸して」「ちょうだい」などのやりとり、困ったときに「助けて」と言える力、嫌な時に「やめて」と言える力などを付けたい時期です。
支援者は意図的にお子さんが要求や援助希求、拒否をできるような場面や環境を作り、コミュニケーション能力を伸ばすような関わりを心がけましょう。

非認知能力と教育について

非認知能力は教育とも大きく関わります。

  • 非認知能力に関するこれまでの教育の問題点
  • 非認知能力を伸ばすための今後の教育の可能性

それぞれについて解説します。

非認知能力に関するこれまでの教育の問題点

非認知能力に関するこれまでの教育の問題点として、「何かミスをしたときに怒られる」ということが挙げられます。
具体的には忘れ物をした、先生の話しをしっかり聞いていなかったなどのときにこれまでは「怒られる」ことが多かったのではないでしょうか。
忘れ物をしたり先生の指示が入らなかったりするのは、その子自身に忘れやすい、刺激の多い場所では指示が入りにくいなどの特性があるからかもしれません。

これまでの教育は「みんな同じようにできないといけない」という考えがどうしても強く、1人1人に合った支援が難しいという点が問題でした。
それによりさまざまな特性を持った発達障害の子やHSCは怒られる機会や自信を無くす機会が多く、それにより物事に対する意欲も失われ、結果的に非認知能力が育ちにくいという問題点があります。

非認知能力を伸ばすために今後の教育の可能性

教育者の関わりとして大切なのは、ミスしたことを責めるのではなく、どうやったらその子ができるようになるか一緒に考えることです。
怒られてばかりでは子どもの自己肯定感はどんどん下がり、結果として非認知能力が育ちません。
また、自分の苦手なことをどうやったらできるようになるのか知ることで、物事に対しての意欲がわき、ミスをしても「次頑張ろう」と立ち直ることができ、物事を柔軟に考える力も身に付き、非認知能力を育てることにつながります。

みんなが同じようにできる必要はなく、お子さんごとのペースに合わせた教育や支援をすることで非認知能力が伸びていきます。
また、保育園や幼稚園、学校は集団生活であり、子どものコミュニケーション能力を高めたり、人との関わりの中で自制心を高めたりと非認知能力を育てるにはベストな環境です。
お子さんの年齢が低いうちは教育者が間に入り、お子さん同士でコミュニケーションをとれるようサポートすることが大切です。

まとめ

非認知能力を育てるために、支援者は親に対し子どものできている点や褒め方を見本として示し、子どもに対してはその子のレベルに合った課題を提示し「できた」という経験を積み重ねるような関わりをすることが大切です。
また、これまでの教育はみんなと同じことを求められるがゆえに、特性のあるお子さんは怒られる機会が多く、結果的に非認知能力が育ちにくい環境にありました。

今後の教育の可能性として、お子さんのペースに合わせた教育や支援をすることで自己肯定感や意欲的に物事に取り組むことにつながります。
また、集団生活の中で教育者が間に入りつつ、コミュニケーション能力を磨くことで非認知能力を育てることに繋がります。
非認知能力は毎日の親や支援者、教育者、友達との関わりで育っていく能力です。

子どもの非認知能力を最大限に伸ばせるよう、支援者や教育者は適切にかかわることが大切です。