スマホ世代の子どもの遊びはどうする?外遊びのメリットと注意点を紹介

「Z世代」という言葉もすっかりおなじみになってきました。主に中高生から20代半ばまでの若い人々を指します。今ではその下の世代にも「α世代」という呼称がつけられ、どんな傾向があるかなど、世の中では何かと話題になります。

そういった話題になると必ず上がってくるのがスマホをはじめとしたデジタルとの「日常的な関係」の話です。 いまや子どもたちにとってスマホなどのデジタル環境は当たり前のものとなり、α世代は「タブレット学習」や「プログラミング教育」で何の違和感もなくデジタルを受け入れています。
そしていわゆる「遊び」も屋内でのデジタルによるものが、その多くの割合を占めてきています。

そんな中、改めて「外遊び」の重要性が見直されています。

子どもだけではありませんね。
「外遊び」に魅了される大人は近年急増しています。コロナの影響もあり、キャンプなどは一種のブームとなり「ソロキャン」も「グランピング」も、更には「ベランピング」も流行しています。
言うまでもなく子どもたちにとっても「外遊び」はたくさんのメリットがあります。これまではデジタルとの対比で減少の一途をたどるとされた「外遊び」も、これからは親の世代から、見直しが進んでいくのではないでしょうか。

この記事では「スマホ世代」の子どもたちの遊びのあり方について解説し、その中でも「外遊び」のメリットと注意点をご紹介します。
キャンプに魅力を感じる大人の皆さんなら、子どもの外遊びの重要性を、実感を持ってわかってあげられますよね?ぜひ最後までご覧ください。

子どもの遊びの状況

それではまず最近の子どもたちの遊びの状況について見てみましょう。今回は特にコロナ禍の影響を受けての傾向に注目します。

自宅でデジタル

コロナ禍の小中学生の生活状況を見てみると、PCやスマホに費やす時間はコロナ前よりかなり増加し、平均では1日80分というデータもあるようです。

また遊ぶ場所は9割以上が「自宅」、その内容はスマホ、携帯ゲーム、YouTube視聴などデジタルに依ったものが上位を占めています。

「外で遊ぶべき」は多くの親が認識している

とはいえこういったデータを見ても驚くことは少ないでしょう。むしろ「…でしょうね。」という回答の方が多数を占めると思います。

この傾向はコロナ禍で加速しましたが、今に始まったことではありません。「ゲームしてないで外で遊びなさい」は今の親世代が子どもだったころからの、「お母さんの定型文」でしたね。
そして今の親世代もその思いは変わらないようです。

「外で遊ぶことは必要」と考える親は、約9割近くを占め、外遊びの減少によって「体力が落ちる」ことを約8割の親が心配しているデータが出ています。

子どもの外遊びへの不安とは

本当は外遊びは大切なんだけど、遊ばせてあげられてない。
これが多くの親が考えていることのようです。それにはいくつかの不安なポイントが挙げられ、今後解決すべき課題とも言えます。

遊び場所が少なく、規制が厳しい

単純に遊ぶ場所が減ったという声もあります。
子供が遊ぶ場所としてまず浮かぶ「公園」ですが、面白い状況があり、実は公園は近年減っている傾向はあまり見られず、数自体は増えている状況が見られます。

一方で遊具の撤去が相次いでいます。理由は老朽化や、事故防止などですが、当然それらで遊ぶ子供たちも減っていて、需要がないのだと言えます。

また公園などでの規制も増えています。「ボール遊び禁止」「スケボー禁止」「大縄跳び禁止」など、禁止事項が都市部の公園を中心に増えているほか、近隣からの遊ぶ声や走り回ることへのクレームなども聞かれます。

事故・事件への懸念

スマホなどの防犯情報で近隣の不審者情報が頻繁に飛び込んできます。また防犯ブザーは小学生の必需品ともなっています。親が子供にスマホを持たせる理由の大きなものに、無事かどうかGPSで確認する、という状況もあり、親の不安がうかがえます。

事故への不安も多いです。外遊びに、多くの大人の目があったころと違い、けがをしても周囲の大人が助けてくれる期待はできず、また高齢者とぶつかってけがをさせるという心配も聞かれます。

外遊びの必要性自体疑問視する声も

そんなリスクのある外遊びが、そもそも必要とは限らない、という声もあります。
確かに最近は大人の働き方もIT化によるデスクワークの増加など、体力を必要とするものが減っているように思われます。そんな社会において、必ずしも外で遊ばなくても弊害は無いのではないかという声が、出てくるのも必然かもしれません。

でも本当にそうでしょうか?

子どもの外遊びのメリット

子どもが外で遊ぶメリットは、実はたくさんあります。そんな忘れがちだけど、とても大切な内容を見ていきましょう。

子どもの体力が養われ、脳も発達する

まずは多くの人が重要と考える体力についてです。外遊びで重要なのは、「体のさまざまな動作」を同時に行うということです。

室内での遊びはどうしても運動している箇所が限られたものになります。一方で外遊びは、走る、跳ぶ、しゃがむなどなど、さまざまな動作を必要とします。それは身体のみならず、脳の発達にも良い影響を与えます。
外遊びは「脳の力」も向上させることになるのです。人間は動物です。身体的な運動でしか伸ばせない能力があります。これは忘れがちですが、大変重要なことです。

子どもの自主的行動力が高まる

外遊びには子どもが「自主的に動く」ことが要求されます。これは同じ野外活動でも、スポーツにはない要素です。ルールのない所で自分なりのルールを決め、楽しみを自身で探し出して、子どもは遊ぶのです。
「自身で考え、自身で決め、自身で動け」。社会人に要求されることのようですが、これを子どもは外遊びで実体験することになるのです。

しかし「子供は遊びの天才」と言われるように、しばらく外遊びをさせていると、それぞれ自分の楽しみの方向性を見つけ、自分だけのルールや物語を作って、一心不乱に遊び始めます。この創造性は、子供の成長に取って大きな効果をもたらすものです。

子どものコミュニケーション能力が高まる

子どもたちみんなで集まって、外遊びをできたら理想的だとは思いますが、なかなかそういう状況を作るのも難しいでしょう。とはいえ、外に出ると、幼稚園や学校では会わないような世代の違う人々や、学年の違う子どもたちとの交流が見込めます。

また、一緒に来たお父さんお母さんが、近所のおじいちゃんと話しているのを見るのも、子どもには勉強になるかもしれません。
他人を知り、円滑なコミュニケーションをしていく方法と重要性を、外遊びで子どもたちも学んでいくのです。

子どもが「失敗の大切さ」を知れる

外遊びは失敗の連続です。子どもは走っているとかならず転びます。よそ見していて木にぶつかることもあるでしょうし、雨でびしょびしょになることもあるかもしれません。ゲームの主人公みたいに高く飛べないことを知り、友だちとけんかすることもあるでしょう。

そんな失敗経験を活かして、体の動かし方や危険を予測する方法、人間関係の扱い方や、思い通りにならないことへの心の置き所などを学んでいくのです。これは大人になってから、私たちが鍛えたいと願うことと、同じですね。

子どもの外遊びの注意点

このように外遊びには子どもの成長にとってたくさんの良い効果が期待できます。とはいえ、外遊びさせることへの心配事もありますよね。
また、外遊びさせても危険を恐れるあまりつい手を出してしまう、口出ししてしまうという親の声も聞かれます。それをどう考えればよいでしょうか。

外遊びの「危険」をどう考えるか

外遊びは失敗経験を積み、それが成長の糧になることをメリットに挙げました。
一方で大きなけがにつながるような危険は、親が守らなければいけません。この危険をどのように考えればよいのでしょうか。

「必要な危険」と「不必要な危険」を親が考える

それにはまず「必要な危険」と「不必要な危険」を親が考える必要があります。
子どもが失敗して、解決策を見出して、学んでいけるような「危険」は、親は見守り、励まし、子供の自主性を見届けるのが良いでしょう。

一方で立ち入り禁止場所への進入や、遊具の誤った使用法、見知らぬ大人への不必要な接近などは、ダメなものはダメとして事前に禁じて、それを守る姿勢を促してあげるのが好ましいでしょう。

環境は大人が注意する

子どもは遊びに夢中になると、周りが見えなくなります。そこをあまり自由にさせておくと、危険な状況につながりかねません。それを事前に回避するため環境的な部分は大人がコントロールしてあげる必要があります。

例えば服装は動きやすいものを着せる、遊ぶ場所はこの範囲と決めておく、一人で遊びに行かせる場合も、何時になったら帰るかを約束しておくなど、安全に遊べて、「危険」を事前に回避できるような環境を設定してあげましょう。

まとめ:外遊びには大切なことを知る機会がたくさんある

本記事では、スマホ世代の子どもの遊びを取り巻く環境と、外遊びのメリットや注意点について解説してきました。
外遊びはもう一つ、とても重要な経験を子どもにもたらします。
キャンプにハマる大人たちならわかるはずです。

外に出ると普段簡単にできたことが、とても難しいことを知ります。コンロもない所で火をおこし、狭いテントの中で、ちょっと固い寝袋で寝て、虫に刺されないように、動物にご飯を取られないように…。試行錯誤しながら、不便を乗り越えます。
でもそこで食べるご飯は最高の味です。見える景色は格別です。そんな当たり前で忘れてしまう物事の大切さ生きる感動を、外に出ると感じられます。

外遊びも同じです。
子どもたちはそれを夢中で、体全体で感じます。「感動した」とも「貴重な経験を得た」とも口では言わないかもしれませんが、経験として学んでいくのです。
外遊びのすばらしさを感じている今の親世代こそ、そのことを忘れず、外遊びで得られる貴重な経験をこれからの子どもたちにも伝えていきたいものです。