子どものために親が変わろう!親へのコーチングの必要性について

タンポポの綿毛を指さす子ども

子育てにおいては、しばしば「子は親の鏡」「子どもは育てたようにしか育たない」といった言葉が聞かれます。

実際、子どもの人生にはじめに影響を与えるのは紛れもなく親であり、子どもを変えたければまずは親が変わらなくてはいけない、と考える人は多いでしょう。

しかし、親が変わる・子どもが変わるとは、どのようなことでしょうか。それが分からず、迷ってしまう人も多いのではないかと思います。

この記事では、親が変わるための手段としてコーチングの手法を提案したいと思います。

コーチングは親が変わるための、大きなきっかけとなり得るものです。

親が変われば子どもも変わる

親子が絵本を読んでいる様子

まずは「親が変われば子どもも変わる」とはどのようなことなのか、いくつかの側面から考えてみたいと思います。

子どもがどのように変わっていけばよいのか、そのために親はどのようなことに注意しなければいけないのか、教育や社会とのかかわりの面からも考察します。

子は親の鏡

「子は親の鏡」という言葉は、子育てでよく耳にします。「子どもには親のしつけや育て方が反映するため、子を見れば親の人となりが分かる」といった意味の言葉です。実際、子どもの言動や振る舞いを見ていると親の人柄が分かる、という場面はよく見られます。

親がこの言葉を意識した場合、「子どもにマナーが身につくように、良いこと・悪いことについてしっかりしつけなければいけない」「親である自分が子どものお手本にならなければいけない」と考えることは自然なことでしょう。

確かに親が徹底して行動や言動のあり方をしつければ、子どもはそれに従い「優等生」の振る舞いをするかもしれません。その点で、しつけには一定の効果があります。

しかし、もう一つ念頭に置かなければいけないことがあります。それが、子どもの「自主性」についてです。

求められているのは子どもの自主性

昨今の教育の分野では、子どもが自ら自分の人生を選択し、切り拓いていくための力が重要視されています。

これからの社会は予測不可能です。IT技術の進化や社会構造の変化に伴い、人々の価値観や社会のニーズは目まぐるしく変容を遂げています。

これまで「安定」とされていた社会的立場や一般通念も盤石ではなく、どのような生き方が「正解」なのか明確でない状況が、足元でも起きています。

子どもたちの未来はこのような中にあります。はっきりとした答えがなく、しかもあらゆる物事がすごいスピードで変わり続けています。情報はあふれ、千差万別な意見や考えが発信されており、そこから自身に必要なものを選択していかねばなりません。

そこで生き抜くために必要なのは、自分で物事を判断し、自分で何が必要か考え、自分で手段を選び抜き、自分で学びを進めていく力。いわゆる「自主性」が、非常に重要になるのです。

ティーチングばかりでは子どもの自主性は育たない

もちろんしつけは大切です。やって良いこと・悪いこと、言葉の遣い方、周囲への接し方などは、親がしっかり子どもに教育し、間違いがあれば正すことも必要でしょう。

ただしそれが過剰になり、すべてにおいて「こうでなければならない」と子どもを縛るようになると、子どもは自らの興味や関心を押し殺して、「親が良しとするもの」ばかりを優先するようになります。

一方的な指導・教化(=ティーチング)ばかりでは、子どもが「親が褒めてくれるから」やりたくない物事を行い、「親に怒られるから」やりたいことを我慢する状況になる恐れがあります。

それでは子どもが自ら進んで物事を行う、「自主性」が育っていきません。

コーチングが親を変える

積み木遊びをすることも

子どもの自主性は「ティーチング」の教育ばかりではなかなか身につきません。そこで効果を発揮するのが「コーチング」の手法です。

ここでは「変わりたい」と考える親の悩みと、そこへコーチングがどのような効果を与えるかについて解説していきます。

親は変わり方が分からない

「親が変わらなければいけないのはわかるけれど、どう変わったら良いのかが分からない」と考える親も多いことと思います。確かに子どもの自主性を育てる親はどんな親かと聞かれても、その姿をイメージするのは容易ではないでしょう。

「どのようになったら変わったと言えるのか」「そこへ至るためにはどのような過程が必要なのか」。そのような悩みに対する答えは、明確な認識がなされていないのが現状です。

答えは一つではない

さらに、子どもの発達の速度や個性をかんがみた場合、答えは一つではありません。

子どもはだれしもそれぞれの「考え方」「物事の捉え方」があり、適した教育の仕方も一人ひとり異なります。その子に合った伸ばし方や目標を定め、教育を行っていくことが大切です。

全員に共通の効果を与えるような、究極的な教育メソッドは存在しません。

子どもにも親にも自己肯定感の醸成が大切

ただし、一様に必要なものがあります。それが自己肯定感の醸成です。

「自分には自分を変える力がある。」「自分は自ら積極的に歩みを進めて良い存在だ。」そのような潜在的な思いが醸成されてはじめて、子どもの自主性は育っていきます。

そしてこの思いは子どもよりも先に、親に必要となるでしょう。自己肯定感の醸成した親のもとに、自己肯定感の高い子どもは育ちます。

コーチングは効果的な手法

答えが一つでなく、かつ親子の自己肯定感が大切な子育て。そこでコーチングは大きな効果を発揮します。

コーチングは、何か一つの答えを人へ教え込む「ティーチング」とは異なるものです。コーチングはそれぞれの目指す目標や、そこへ至るための過程を、それぞれの内面に求めます。

コーチングの共通認識は「全ての答えはクライアントがすでに持っている」。つまりコーチングは「自分にとっての答え」を見つけることを目指すものです。

そしてコーチングで前提とされるマインドは「問題を解決する力はクライアント自身が持っている」というもの。コーチングを行えば「自分には自分の人生を切り開いていく力がある」という自己肯定感が育っていくことでしょう。

親をコーチする人材が求められている

コーチングの手法を子育てに取り入れれば、子どもの自主性を育むうえで、大きな成果が得られるでしょう。そのためには、まずは子育てを「行う側」の親がコーチングを受け、それを子育てに活かす能力が必要となります。

しかし現状、親へコーチングを行うコーチの数は多くありません。

コーチングの手法はビジネスやスポーツの舞台では、大きな成果をもたらすものとして、取り入れられています。また、子育てでもコーチングの考え方が大切であることも理解が広がってきています。

今後は、子育ての当事者である親をコーチする人材が、ますます求められていくでしょう。

親を対象としたコーチが増えることを切に願っています。

親へのコーチングが、親も子も変える

ピクニックでサンドイッチを食べる子ども

この記事では、子どものために親が変わるべきこと、そしてコーチングの手法が与える良い効果について解説してきました。

「子は親の鏡」であり「親が子の鑑」であるために、まず親が、子どもの自主性が伸びるような「考え方」を身につける必要があります。そのためには、コーチングの考え方をまず親が学ぶべきであり、コーチングを親に伝えるコーチが必要になるでしょう。

親をコーチできる専門家が増えれば、子どもの自主性を重んじられる親が増え、結果的に子どもの成長につながります。

コーチングの考え方が子育てでも活かされ、親へのコーチが今後さらに増えていくことを心より期待します。