非認知能力という言葉を知っていますか?
非認知能力とは、一言でいえば数値化できない能力のことで、近年話題になっています。
この記事では、非認知能力とは何かについて詳しく解説します。
また、子どもの非認知能力を伸ばすために親が出来ることについて紹介します。
非認知能力とは
非認知能力とは一体何のことを言うのでしょうか。
- 非認知能力と認知能力
- 非認知能力の種類
それぞれについて解説します。
非認知能力と認知能力
認知能力とは、学力テストや知能テストなどで出されるIQのことを言います。
それに対し、非認知能力とは認知能力のように数値化することのできない、心の部分が持つ能力を言います。
この非認知能力を高めるには、就学前の時期が一番重要だと言われています。
非認知能力は具体的に自分への自信、意欲、忍耐力、創造性などがあります。
つまり、子どもの特性や性格を指すとも言えます。
非認知能力は子どもの将来に役立つ
非認知能力が注目されるようになったのは、ノーベル経済学賞受賞者のジェームズ・ベックマン教授がおこなった「ペリー幼稚園プログラム」がきっかけです。
「ペリー幼稚園プログラム」はアフリカ系米国人の3,4歳の子を対象とした実験です。
就学前に手厚いサポートを受けた子と受けなかった子で将来のIQや所得などを比べるという内容です。
ペリー幼稚園プログラムを受けた子はIQ、持ち家率、高校卒業率、所得が高く、逮捕率が低いという結果が出ました。
IQの差は、ペリー幼稚園プログラムを受けた子も受けなかった子も小学校入学とともに差は小さくなり、8歳前後で受けなかった子のIQは受けた子のIQに追いつきました。
つまり、IQは手厚いサポートを受けても受けなくてもあまり変わりがなく、それよりも子どもの将来に影響を与えるのは自信、意欲、忍耐力、創造性などの非認知能力ではないかという結果が出たのです。
非認知能力の種類
非認知能力は数値化できる認知能力以外のすべての能力であるため、明確な基準があるわけではありません。
その中でも以下の9つは親や支援者に覚えておいて欲しい非認知能力です。
- 自己肯定感
- 意欲
- 忍耐強さ
- 自制心や精神力の強さ
- 自分のスキルを把握する力
- コミュニケーション能力
- 立ち直りの早さや柔軟さ
- 創造性
- 性格の特性(好奇心、外向性、協調性、誠実性など)
非認知能力を高めるために親ができること
では子どもの非認知能力を高めるために親や支援者はどのような関わりをすれば良いのでしょうか。
- 今できていることを認め褒める
- スモールステップで課題を提示する
- 好きなことにとことん付き合う
- 愛情を注ぐ
- 興味のあることは何でもやらせてみる
それぞれについて解説します。
今できていることを認め褒める
子どもの自己肯定感をあげるには、「認めてもらった」という経験が必要不可欠です。
つい親は出来ていないことに目を向け注意しがちですが、そうではなく、親から見て当たり前と思うことでも今できていることを認め褒めるようにしましょう。
例えば保育園や幼稚園から帰ってきた場面を想像してみてください。
靴を揃えていない、靴下を脱ぎっぱなし、上着を脱ぎその場に置きっぱなし、手を洗わない……。
子育てをしていると気になることはたくさんあります。
しかしここはぐっとこらえ、まずお子さんのできている部分を探しましょう。
「ただいま」を言えた、カバンを自分で家の中に持って行った、ドアを開けてくれた、など出来ている部分が必ずあるはずです。
できている部分に注目し、認めましょう。
そうすることでお子さんは「認められた」と嬉しくなり、他のこともやってみよう、と意欲がわいてきたり、褒められたことにより自己肯定感が上がります。
スモールステップで課題を提示する
なにか新しいことにチャレンジするとき、いきなり高いハードルの課題を提示すると子どもは嫌になってしまいます。
「出来ない」が積み重なると忍耐強くひとつのことに取り組むのが嫌になり、自己肯定感もどんどん下がってしまいます。
そのため、新しいことをするときは「少し頑張れば達成できそう」というレベルから始めましょう。
一緒に料理をするならかき混ぜるところから、初めて滑り台をするなら親と一緒に滑るところから、ブランコは絶対に落ちない小さい揺れから、などお子さんの能力により課題のレベルを変えましょう。
「出来た」が積み重なると子どもはどんどん次の課題に取り組もうという意欲が生まれます。
それにより、忍耐強さや自己肯定感も高まります。
好きなことにとことん付き合う
子どもによってはさまざまなことに興味がある子もいれば、興味の幅が狭い子もいます。
しかし、興味の幅が狭いことは悪いことではありません。
好きなことや興味があることに対しては意欲的に取り組めるだけではなく、多少失敗や難しいことに当たっても忍耐強く取り組んだり、創造性豊かに遊んだりすることができます。
子どもが興味を持っていることや好きなことにはとことん付き合い応援しましょう。
好きなことに関する習い事や友達関係を通じて協調性が高まったり、外向性が高まったりとその子の性格にも関わってくるかもしれません。
愛情を注ぐ
親ができる一番は愛情を注ぐことです。
子どもは「誰かに認めてもらった」「受け入れてもらった」経験で自分に自信が持て、自己肯定感が高まり、色々なことに興味を持って意欲的に取り組むことができます。
逆にいくら頭が良くてIQが高くても、親からの愛情を注がれなかった子は意欲的になれなかったり、自分に自信が持てなかったりします。
そうなると将来にも悪影響が出ることは明らかです。
仕事が続かない、忍耐力がない、コミュニケーション能力が低い、など社会に適応するのが難しくなる可能性もあります。
大切なのは小さい頃にまず大きな愛情で包むことです。
お子さんに「大好きだよ」と言葉で伝えるだけではなく、言葉で伝えるのが照れくさいというにはぎゅっと抱きしめたり頭をなでるだけでも愛情は伝わるものです。
子どもにとって、親が笑顔でいてくれ、優しく接してくれるのが一番安心できます。
もちろん子育ては日々大変なので怒らない、注意しないのは難しいですが、「あなたは大切」ということを子どもに常に態度で伝えることが重要です。
興味のあることは何でもやらせてみる
子どもが興味を持ったことは何でもやらせてみましょう。
年齢や能力的に難しいと思ったことはハードルを下げて出来る範囲で取り組んでもらうと良いでしょう。
親や支援者が手伝って一緒に行うのもおすすめです。
しかしお子さんによっては「手伝われたくない」という子もいます。
その際はお子さんに気が付かれない範囲でさりげなく援助をし、成功体験へ導くのが大切です。
例えば料理に興味があるお子さんなら、いきなり全て一人でやるのは難しいですがまずは卵をかきまぜる、調味料を入れてもらうなどお子さんが出来そうなところから取り組んでもらうのがおすすめです。
それにより、お子さんは「もっとやりたい」という意欲がわいたり「できた!」と自信が持てるようになったりします。
まとめ
非認知能力とは、IQなど数値化できる認知能力以外の全ての能力のことです。
具体的には自己肯定感や意欲、忍耐強さ、自制心や精神力の強さ、自分のスキルを把握する力、コミュニケーション能力、立ち直りの速さや柔軟さ、創造性などがあります。
非認知能力を高めるには、就学前の親の関わりがとても重要です。
親は子どもに愛情を注ぎ、今できていることを認め褒めることで子どもは自分に自信を持ち、自己肯定感を高めることができます。
また、興味のあることは何でも一緒にやってみたり、好きな事にはとことん付き合うことで忍耐強さや自制心、精神力の強さを高めることに繋がります。
子どもが何かをやりたいと言った時にはスモールステップで課題を提示することが大切です。
それにより、「出来た」という気持ちが積み重なり、自信になったり次も頑張ろうという意欲がわいてきます。
子供が将来幸せに暮らせるよう、子どもの非認知能力を高められるような関わりを心がけましょう。