「子供の主体性を育てたい」そう考える親御さんは多いでしょう。しかし、具体的にどのようすれば子供の主体性が育つのか、わからない方が多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、子供の主体性を育てる方法を具体的に解説します。主体性を育てるうえでやってはいけないこともご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
主体性とは?
主体性とは、「自分で考え、目的を持って行動する力」のことです。自らやるべきことを判断し、誰かの指示を待たずとも行動できます。自らの責任で行動する強い意志があるため、周りの状況や意見に左右されません。最後まで責任を持って、自分のやりたいこと・やるべきことを成し遂げる力を持っています。
主体性とよく似た言葉が「自主性」です。自主性は、「やるべきことを誰かに指示される前にできる力」を指します。例えば、「食事の後には歯磨きをする」「寝る前にはトイレに行く」といった当たり前のことを、誰かにやりなさいと言われる前にできる子は、自主性があるといえます。
主体性がある子供は、「なぜ食事の後に歯磨きをするのか」と考え、目的を理解したうえで行動することが可能です。自主性と主体性は似て非なるものだと理解しておきましょう。
子供の主体性を育てる重要性
それでは、なぜ子供の主体性を育てることが重要だと考えられているのでしょうか。その理由は、子供が将来的に生きづらくなってしまうからだと考えられます。
もし主体性が育たないと、何をするにも受け身になるでしょう。自分で考えて行動する癖がついていないため、小さなことでもどうすればいいか、その都度誰かに確認しないと動けません。
また、自分の意見に自信がないため、周囲の人と同じ考えかどうかを極端に気にします。そのため積極的に意見交換ができず、コミュニケーションが不得意になる可能性も考えられるでしょう。
さらに、周りの意見に合わせるのが当たり前になると、「自分が本当はどんな意見を持っているのか」「本当は何をしたいのか」を見失ってしまいます。こうなると毎日が楽しいと思えなくなり、生きづらさを感じてしまうのです。
主体性は、社会に出てからはもちろん、あらゆる場面で求められます。子供のうちから育てておくことで、将来的に困る場面が少なくなるでしょう。
子供の主体性を育てる方法4つ
子供の主体性を育てるには、親との関わり方が重要です。ここからは、子供の主体性を育てる方法を4つご紹介します。実践できるものから取り入れて、子供の主体性を育てていきましょう。
1、子供に物事を決めさせる
あらゆる場面で子どもに物事を決めさせましょう。例えば「今日の夜ご飯は何を食べたい?」「今度のお休みは何をする?」などと問いかけ、子供の意見を聞きます。
しかし、自分の意見を言い慣れていない場合は「何でもいい」と答えてしまいがちです。そんなときは、選択肢を与える形で問いかけてみてください。「今日はカレーとシチューだったらどっちがいい?」という具合です。この問いかけでの回答がスムーズになってきたら、選択肢の幅を広げた問いかけをしてあげましょう。
このように、子供に物事を決めさせることで、自分の意見を積極的に伝える力が身につきます。
2、あえて失敗させる
失敗させたくない思いが強く、先回りしてしまう親御さんは多いのではないでしょうか。しかし、子供の主体性を育てたいのであれば、あえて失敗させてみてください。失敗を経験すれば、「次はどうすればうまくいくかな」と考える癖が身に付きます。これにより、仮説検証をしながら行動する力が身につくのです。
最初のうちは、うまくできなかったことに落ち込むかもしれません。そんなときは、「失敗しても大丈夫」「挑戦できたことはすごいね」と声をかけてあげましょう。次は頑張ろうと意欲的になり、主体性が育ちやすくなります。
3、やりたいことは積極的にやらせる
子供がやりたいと言い出したことは、積極的にやらせてあげる姿勢が大切です。行動を抑制せずにやらせてあげれば、成長意欲が向上します。危険でない範囲で料理を手伝わせてあげたり、星が好きなら一緒に天体観測に行ったりと、子供にとことん付き合ってあげましょう。
子供だけでは、できることに限界があります。何をやりたいのか、どんなことに興味があるのかに耳を傾けながら、できる範囲でサポートしてあげてください。
なお、危険が伴うことや、周囲の迷惑になることについては、理由を説明したうえで「ダメだよ」と伝えることも大切です。
4、自ら行動しやすい環境を作る
子供の主体性を育てるには、自ら行動しやすい環境を作る必要があります。環境が整っていなければ、何かを「自分でやりたい」と思っても、できない可能性があるからです。
もし自分で服を選びたくても、タンスの引き出しの位置が高ければ、物を取り出せません。コップにお茶を入れたくても、ボトルが重くて持ち上げられないこともあるでしょう。
このように周りの環境が整っておらず、自分で行動できない場面は多いです。子供の「やりたい」を満たす機会を増やすためにも、自ら行動しやすい環境を整えてあげましょう。
子供の主体性を育てるうえでやってはいけないこと3つ
子供の自主性を育てるうえで、やってはいけないこともあります。
先に紹介した方法の実践も大切ですが、やってはいけないことをやらないように過ごすことが重要です。ここからは、意識していないとやりがちなNG行動を3つご紹介します。ぜひ今日から意識してみてください。
1、否定する
「やめたほうがいいよ」「すぐに飽きてしまうのでは?」「それ、変だと思うよ」など、子供を否定する発言は控えましょう。子供は、さまざまなことに興味を持ちます。それは個性の芽でもあるのです。
親には理解できないファッションセンスだったり、外で遊んでほしいのにインドア派だったりすることもあるでしょう。しかし、これらを否定してしまうと、「自分の好きなことは周りに受け入れられない」と思い込んでしまいます。すると、自分の考えを周りに伝えるのが怖くなり、主体性が育たなくなるのです。
できるだけ子供の話に耳を傾け、肯定することを心がけてください。自分の考えを受け入れられた経験が増えるほどに、主体性が育ちやすくなります。
2、干渉しすぎる
子供に干渉しすぎると、主体性が育たなくなるのでやめましょう。例えば「早くお風呂に入りなさい」「もう寝ないと朝起きられなくなるよ」「今日は雨が降るから傘を持ってね」など、子供に声かけをする人も多いのではないでしょうか。しかし、親が子供の行動に干渉しすぎると、自ら考え行動する力が身に付かなくなります。
口出ししたくなる気持ちをグッと堪えて、自分で行動させる癖をつけてあげてください。最初はお風呂に入る時間が遅くなったり、寝坊したりすることもあるかもしれません。そんなときでも見守りに徹すれば、自然に自ら考え・行動できるように変化していきます。
3、興味を失っても続けさせようとする
一度は興味を持ったけれど、飽きてしまうことも多いのが子供です。しかし、「せっかく始めたのだから頑張ろう」と言い、無理に続けさせようとしてしまう親御さんもいるかもしれません。
興味がなくなったものを無理にやらせると、子供は嫌悪感を抱きます。さらに、「やりたいけれど、また途中で飽きてしまうかも……」と思ってしまい、何かに興味を持っても教えてくれなくなる可能性があるのです。
子供はさまざまなことに興味を持ち、それぞれから学びを得ていきます。そういうものだと理解し、飽きたらやめさせる勇気も必要です。
まとめ
子供の主体性が育つかどうかは、普段から親とどう関わっているかが大きく影響します。
できるだけ子供の意見を尊重し、親はサポートする体制を整えておきましょう。また、子供を否定したり干渉しすぎたりしないことも大切です。特にやってはいけないことをやらないように意識しながら、日々を過ごしてみてください。